最近、「AIくささ」という言葉をよく耳にするようになった。
AIくささとは、AIが作ったと一目で分かる独特の違和感のことである。例えば、画像生成AIで素人がイラストを作ると、パッと見はうまく見える。しかし、よく見ると指の本数がおかしい。光源が不自然。表情が均一すぎる。「あ、これAIだな」とすぐに気付く。
先日、私はメルカリでほとんど着ていないコートを出品した。すぐに購入希望者から連絡が届いたのだが、メッセージを読んだ瞬間に分かった。この人は日本人ではない、と。
文法的には間違っていない。丁寧語も使えている。しかし、言葉の選び方や語順に、どこか違和感がある。日本人ならまずはこうは書かない、という微妙なズレがにじみ出ていた。
AIが生成した文章も、これとよく似ている。言い回しが妙に丁寧すぎたり、抽象表現が多かったり、具体性が薄かったりする。無難だが、なぜか心に引っかからないのだ。AIに慣れている人ほど、その違和感をすぐさまかぎ取れると思う。
職場においても、このような問題は起き始めている。
上司が部下に、メール文、議事録、企画書、プレゼン資料、イベント告知チラシなどを作らせる場面は日常茶飯事だ。中にはAIをうまく活用して、下書きを高速で作り、そこから人間の視点で磨き込む人もいる。とてもスピーディーに、完成度の高いアウトプットを出してくる。これなら問題はないだろう。
一方、AIに処理を丸投げしてしまったらどうなるか。AIが吐き出した文章や画像を、そのまま活用してしまうのだ。
ある機械メーカーでも、こんな出来事があった。営業企画課の若手社員(28歳)が、新製品の販促チラシを任されたときだ。
「3日後までに作っておいて」
このように、課長から指示を出されたので、若手社員は生成AIを使い、わずか30分でチラシを完成させた。レイアウトも整っている。キャッチコピーも悪くない。本人は「これでいける」と思ったのだろう。ほぼそのまま提出した。
しかし、課長の反応は冷たかった。
「うーん……なんか、AIくさいんだよな」
チラシを眺めながら、課長はそうつぶやいた。キャッチコピーが大仰すぎる。「未来を切り拓く革新的ソリューション」などと書いてあるが、中身が伴っていなかった。
画像も、なんだか不自然に思えたという。登場人物がやたらと美男美女で、全員がニコやかに微笑んでいる。光の当たり具合も、不自然なほど艶やかだった。現実の製造現場には、こんな人たちはいない。
「これ、誰に見せるつもり? うちの顧客は町工場の現場担当者だよ?」
課長の指摘はもっともだった。誰に向けて作っているのかがぼやけている。「AIくささ」が激しいチラシに、なんとも強い違和感を覚えたという。
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