大手の生産管理システムは、なぜハマらなかった? 中小製造業が仲間と作った「現場発システム」で売上3倍を実現(2/4 ページ)

» 2026年01月27日 07時30分 公開
[石田千尋ITmedia]

数千万円投資したのに…… なぜ改善できなかったのか?

 前田氏は、過去に導入した大手メーカーの生産管理システムが現場で機能しなかった一つの要因として「端末1台ごとに料金が発生する価格体系」を挙げた。

 「導入コストが重かったです。1人1台の端末を持つのが理想ですが、現実には台数を絞らざるを得ませんでした。結果として、1台の端末を5〜6人で共有するかたちで、合計4台を運用していました」(前田氏)

 端末を共有せざるを得なかったことが、生産管理における致命的な問題をもたらした。作業の進捗(しんちょく)を端末に入力するためにわざわざ端末が設置されている場所に行き、入力して作業場所に戻るという往復が発生したのだ。

 この往復によって、現場での実作業と記録されている進捗状況に乖離(かいり)が発生するだけでなく、他の人が端末を使用している場合には入力待ちが多発したり、入力を後回しにしたりする状況がみられた。結果として、データ自体は蓄積されているものの、入力のタイミングや精度にばらつきがあり、現場の実態を正しく把握できていなかった。

 生産管理の問題に加え、もう一つ生産性を下げているアナログな作業があった。

 「現場では溶接工程で図面を確認する作業が頻繁に発生するのですが、図面は紙で管理していました。そのため、図面で分からないことがあった場合、作業の手を止めて設計管理者がいる事務所まで行って、細部を確認したり相談したりする手間が発生していました」(前田氏)

溶接作業の様子。これまでは図面の確認作業が頻発していたという

 この一見小さな行動が、大きなロスを生んでいた。例えば、図面に関する問い合わせが1人当たり1日約10分発生したとする。作業者が6人いた場合、合計で1日約1時間、年間では約254時間に上る。日数換算で約31日分、個人単位でも年間約5日分が「相談だけ」で消えていく計算になる。

 こうしたムダな時間が多く発生していたことで、仕事が終わらず、深夜残業や休日出勤も増えていったという。

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