ローカル線の存廃は「住民の生活に与える影響度合い」で決まる。具体的には、通勤・通学の手段が失われてしまう点である。
自家用車の普及率が高い現状では、ローカル線の主な役割は、運転免許を取得できない高校生以下の通学や、車の運転が難しい高齢者の通院や買い物、そして若干の観光客の輸送などが中心になる。つまり、交通面で弱者の立場にある住民が利用する交通機関が鉄道なのだ。これはローカル路線バスでも変わらない。
こうした役割を踏まえると、ローカル鉄道は「移動に不利な立場にある人を支える交通手段」といえる。そうなると「これは交通事業というより、弱者を支援する福祉の一環ではないか」という見方が出てくる。この考え方は、国鉄の経営悪化をきっかけに、地方のローカル線のあり方が社会問題として議論されるようになった1970年頃から、繰り返し指摘されてきた。
こうした議論が進むと、次に問われるのは「誰がその役割を担うのか」という点だ。福祉を担う主体は自治体だ。そのため、鉄道の存続を求めるのであれば、公的な支援が必要だという考え方は、すでに当たり前のものとなっている。
実際に、ローカル線の存廃をめぐって鉄道会社と交渉する窓口となるのは、地元の自治体だ。市町村だけでなく、沿線全体に関わる問題になることも多く、都道府県が関与するケースも少なくない。
一方で、ローカル鉄道を抱える地域の多くは、基幹産業の衰退や過疎化、少子化に直面している。その結果、地域の経済力は弱まり、税収も十分とはいえない。自治体にとって、鉄道への支援は決して容易な判断ではないのだ。
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