企業不祥事を防ぐコツは「昭和」にあり? 今こそ学ぶべき名経営者たちの教えと、注目すべき「現代企業」とは(4/5 ページ)

» 2026年01月29日 05時00分 公開
[大関暁夫ITmedia]

サイボウズは何がスゴいのか

 サイボウズは1997年に元松下電工社員らが3人で立ち上げ、オリジナルのグループウエアがヒットして、わずか3年で上場を果たします。しかし急成長と事業拡大を第一義としたことで、組織運営が硬直化して年間で3割近い退職者を出し、業績も下降線をたどることになりました。

 いつ大きな事故が起きてもおかしくないようなこの危機に瀕して、創業者の一人である青野慶久氏が社長となり、前職で身につけた松下幸之助の教えにならう大改革に着手したのです。

 まず経営理念を重視し、その中核に行動規範を位置付けることをしました。具体的には「チームワークあふれる社会を創る」という同社の「存在意義」と同格で、「理想への共感」「多様な個性を重視」「公明正大」「自立主義」「対話と議論」からなる「5つの文化」を制定しています。「松下の七精神」をイメージさせる行動規範です。

 青野社長はこの「5つの文化」を、「企業理念を日々の組織運営に落とし込むために育んできたものであり、企業理念を実行に移すための行動規範として不可欠なもの」と定義しています。そして何よりこの行動規範を青野社長自らが率先垂範することで、社員間での徹底を図ったのです。

 経営理念は航海に例えてみれば目的地を示した海図であり、行動指針は進むべき正しい方角を知るための羅針盤に当たるでしょう。海図によって目的地が分かっていても羅針盤がなければ船は正しい方向に進むことはできません。行動規範をおざなりにしている企業では経営理念が形骸化して、利益至上主義などに誘導されておかしな方向に進んでしまい、不祥事も起きているといえるのです。

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