トヨタ「RAV4」はなぜ売れているのか “トレンドの変化”に応じた巧みな商品戦略高根英幸 「クルマのミライ」(3/6 ページ)

» 2026年02月06日 07時00分 公開
[高根英幸ITmedia]

3ドアのコンパクトモデルだった、初代RAV4

 トヨタからRAV4が誕生したのは、1994年である。オフローダーテイストと都会的なイメージを併せ持つ、これまでにないスタイルのクルマとして、コンパクトな3ドアモデルで登場した。

 SUVというカテゴリーに日本車が参入し始めた頃のことだ。そもそもSUVは、北米でビーチやゲレンデのスポーツを楽しむ際のトランスポーター(移動手段)として、走破性の高いモデルをベースに積載能力を高めたクルマだった。

 それに対してRAV4は、コンパクトで軽快な印象であった。今では信じられないかもしれないが、初代RAV4のボディサイズは5ナンバー枠に収まり、3ドアでは全長3.7メートルしかなかったのだ。

 その結果、北米市場ではシティコミューター(街乗りが中心の実用車)としての使い勝手の良さが評価され、人気を集めた。見た目は車高が高くタイヤも大きい一方、燃費を重視するユーザーの選択肢にも入ったのだ。

初代RAV4は、3ドアボディのコンパクトなクロスオーバー車で国産SUVの走りだった。写真はボディ底部にバッテリーを搭載したEVだが、外観はガソリン車も変わらない(写真:トヨタ)

 コンパクトなボディで高めの車高、荷物を積みやすいデザインによって、これまでにないクルマとして人気になり、女性ユーザーの割合も高かった。故障が少なく、燃費もいいクルマとして重宝されたのだ。

 一方、日本では3ドアは使い勝手が悪く、翌年にはホイールベースを延長した5ドアモデルを追加し、新たな需要を掘り起こした。結果的に5ドアはRAV4の延命措置となり、主力グレードとして成長していくことになる。

 3ドアのスタイリングは斬新で魅力的だったが、バブル経済を経験した世代でもトヨタ車を選ぶ層は堅実派で、実用性を重視していたことから、ウケが悪かったのだろう。

 それでも3ドアモデルでは、EVを開発したり、ルーフ後半をソフトトップとした開放感あるモデルを設定したりするなど攻めたバリエーションを展開。非常に意欲的な挑戦をしたモデルだった。車高が高く、車幅や全長の割にスペース効率に優れたシャーシには、拡張性や発展性があったのだろう。

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