中高年の転職市場がかつてない活況を迎えている。
転職サービス「doda」(デューダ)を運営するパーソルキャリアが、2025年3月に実施した調査「ミドルシニアの転職実態レポート」によると、ミドルシニア(45〜60歳)の転職が活発化している。dodaの2024年の新規登録者数は前年比約118%と4年連続で増加し、転職決定者数も2019年比で2倍以上に到達している。
背景には、氷河期世代の将来不安による転職活動の活発化と、深刻な労働力不足に伴う企業の「即戦力」ニーズの高まりがある。 企業側の採用ニーズも少しずつ高まっており、今後、中高年の労働移動がさらに活性化すると予測されている。
一見すると「シニアへの追い風」が吹いているように見える。しかし、人材の流動性が高まったからといって、個人の「転職成功の壁」が低くなったわけではない。むしろ、候補者数が増えたことで、企業の選別はより厳しくなっているのが現実だ。
実際、実績のある50代が転職の面接で落とされたという話もよく聞く。シニア人材を採用する現場で、面接官は候補者の何を見て、どんな不安を感じているのか。
3000人以上のシニアのセカンドキャリアを支援してきたBEYOND AGEが、50代転職のリアルな3つの障壁と、それを突破するための対策を解説する。
50代の採用において、企業側は「経営層(役員クラス)」として迎えるか、「現場の戦力(部長・担当者クラス)」として迎えるかで全く異なる視点を持つ。
前者はヘッドハンティングが主流であり、過去の実績が全てだが、後者の場合、面接官が最も懸念するのは「この人は自分で手を動かして働けるのか?」という点だ。
特に大手企業出身のシニア転職者に多いのが、30代後半から管理職となり、「部下が作った資料をチェックして修正指示を出す」ことだけに長年従事してきたケースだ。紙に出力して、赤ペンで修正を入れて「あと直しておいて」と投げる。このスタイルで仕事をしてきた人は、中小企業やスタートアップでは機能しない。
転職後の現場でシニア人材に求められるのは、指示出し能力ではない。生成AIや基本的なITツールを使いこなし、自ら情報収集し、「社長、こういう提案資料を作ったので営業に行ってきます」と自ら手を動かして業務を遂行できる実務能力だ。
大手企業のように手を動かしてくれる優秀な部下は存在しない。「部下にやらせる」のではなく「自分で考え、自分で形にする」。自ら思考し、手を動かせるかどうかが最初にして最大の関門となる。
例えば、面接官は手を動かせる人材かどうか見極めるために、こんな質問をするケースがある。
「もし部下が一人もいない状況で、『新規チャネルの開拓』という課題を渡されたら、明日から具体的にどのようなアクションを起こしますか?」
そのような質問に対しては、例えば以下の回答のように、具体的な作業や数値を交えて説明するよう、当社では求職者にアドバイスしている。
「ターゲット属性に合致する企業リストを自ら100社抽出します。明日中に、そのうち優先度の高い20社に対し、ChatGPTに過去の成功事例を学習させ、会社ごとに作成したメールを送り、メールの開封率や反応を検証します」
このアドバイスを取り入れ、面接で話しただけで、「面接官の反応がガラリと変わった」と求職者から報告をもらうことが多々ある。過去の肩書きではなく、今現在の「自走力」を証明することこそが、シニア採用の門をこじ開ける唯一の鍵となるのだ。
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