では、どのような謝罪の場を設ければいいのか。こちらは、圧倒的不利な状況から、結果的に高評価を得た記者会見から学んだ方がいいだろう。これまたSNS普及以前から、いくつか「成功例」はある。
発生から30年近くを経ても、山一證券の自主廃業会見(1997年)は、良い謝罪会見の例として引き合いに出される。社長みずから「社員は悪くありません」と弁明し、経営陣の責任を強調した姿勢には、誠実さがあふれていたとの評価が高い。
近年に目を向けると、KDDIの大規模通信障害を受けた会見(2022年)が注目された。最初の会見は、まだ障害から完全復旧していない段階でありながら、その時点で把握できる限りの事態について説明。社長を含めた登壇者が十分な知識を持ち、説明スキルを有していたことも、ツッコミどころを残さない明快さを印象づけた。
また、通信障害の場合は、技術面の経緯説明・再発防止策に焦点が当たるため、感情論ベースの「お気持ち質問」をしにくい(場違いになる)点も、会見運営においてはプラスに働いたと考えられる。
では、プルデンシャルは、どんな会見を開けば良かったのだろう。ここまで見てきたように、視覚的・聴覚的な“ノイズ”が入ることで、会見の論点がズレているような印象を与えてしまい、結果としてオモチャ化する傾向にある。
今回問われているのは、不正が横行していた企業風土だ。にもかかわらず、登壇者の服装が「一般的なビジネスマナーから逸脱している」と判断されてしまった。この違和感がノイズになり、悪印象を招いている。
会見を見ている人々は「常識的な企業になること」を願っているのに、これでは「これからも非常識を貫く」というメッセージを与えかねず、そのギャップがさらなる批判を招くのは当然だろう。
この時点で「誠実さ」と「事態の把握」の両方で、成功例から離れてしまっている。世間から求められているのは「慣習からの脱却」と「コンプライアンス体制の再構築」だが、真逆な印象を与えてしまったのは悪手だった。
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