リテール大革命

「閉ざされた国」サウジアラビアの特大スーパーに潜入! 国民の過半数が「30歳以下」の国で進む小売DXの実態 がっかりしないDX 小売業の新時代(3/5 ページ)

» 2026年02月10日 10時40分 公開
[郡司昇ITmedia]

【外資の戦略】総合力と標準化で勝負するフランス「カルフール」

 Carrefour(カルフール)は前回記事でも紹介した、ドバイのMajid Al Futtaimがライセンスを取得して運営するフランス外資のハイパーマーケットチェーンです。

Granada Mall Carrefour(2025年10月筆者撮影)

 ハイパーマーケットは、食品と非食品を1つの店舗に統合して販売する、大型総合店のフォーマットです。フランスでの定義は売場面積は2500平方メートルの非専門店とされますが、実態としては5000平方メートル以上の規模が多く、売り上げ構成は食品が50%強となるケースが一般的です。

 カルフールは食品から家電まで幅広いカテゴリーを扱い、ネットも連動しています。このワンストップ感は、ファミリー層の買い回りコストを下げる上で効きます。オンラインでは3万5000アイテム以上が購入でき、配送面でも「Express」(90分以内の即時配送)と「Scheduled」(希望日時をタイムスロットで指定できるまとめ買い向け配送)といった複数の受け取りスピードを用意し、用途別に使い分けやすい設計です。

Carrefour KSA(公式Webサイト

 店舗を視察すると、ハイパーマーケットならではの特徴が見えます。青果から精肉、ベーカリー、家電、衣料品まで、総合品をそろえています。精肉売場では日本のスーパーでは見られない豊富な部位が並び、魚売場では丸のままの魚が中心で、デジタルサイネージが水族館風の演出をしています。卵は30個入りが主流(約1000円、賞味期限3カ月)と、まとめ買い文化に対応した品ぞろえです。

 外資チェーンの強みは、運営の標準化とスケールにあります。店舗が増えても、アプリ・オペレーション・価格表示・販促の型がそろいやすい傾向があります。結果として「どの店でも大体同じ体験」が作れます。

 実は、DXでは新規施策よりも、この再現性で差が出ます。

まとめ買い文化に対応した品ぞろえ(2025年10月筆者撮影)

 カルフールのDXは、Majid Al Futtaimグループ全体の戦略の一環として展開されています。グループは中東・アフリカ・アジアで450店舗以上のカルフールを運営し、他のブランドも含めた2024年の小売売上高は280億ディルハム(アラブ首長国連邦の通貨、日本円で約1兆円)に達しました(参照)。

 コロナ禍を契機に、サウジでのオンライン売り上げは285%増加しました。これを受け、リヤドに9000平方メートルのフルフィルメントセンターを開設。24時間稼働で1日最大5000件の注文を処理できる体制を整えました。さらに9店舗をオンライン注文のピックアップ拠点としても活用し、オムニチャネル化を加速させています。

 アプリは、Google Play/App Storeで以下の機能を提供しています。

  • 60分配送「Carrefour NOW」(対象商品・地域限定)
  • キャッシュレス決済「Carrefour Pay」(ウォレット機能)
  • ロイヤルティ「SHARE & MyCLUB」(ポイント還元)
  • 店舗検索・商品リスト作成

 重要なのは、これが足し算で終わっていない点です。配送スピードの選択肢とカテゴリーの広さが組み合わさることで、日常品は定期的に、急ぎはExpressで購入できます。食品も家電も、同じアカウントで買えます。

 店舗視察では、セルフレジ出口にレシートスキャンを設置し、無会計者の通り抜けを防止する仕組みが確認できました。運用をデジタルでサポートする好例だと考えます。

 また、ネットスーパー用の専用ピッキングカートも導入されていました。しかし、注文増により十数名の従業員がピックアップを行っており、通常の客用カートも併用している状況でした。

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