日本は毎年、和歌山県の人口と同じ約90万人が亡くなっていく。その中にはかなりの高齢者がいるが、一方でこれまで社会保険料を払っていた現役世代が歳をとって新たに「高齢者」入りする。こうした世代交代が進み、日本は世界トップレベルの「老人国家」になる。2040年には、全世帯の44.2%を世帯主65歳以上の「高齢世帯」が占めるとの試算もある。
さて、そのように医療・年金・介護にかかるカネが150兆円、170兆円と右肩上がりで膨れ上がっていくこの国で、仮に消費減税25兆円分の財源を確保できたとしても、それを実行に移してGDPがドカンと増えることなどあるだろうか。
コロナ禍に、欧州では日本の消費税に当たる付加価値税(VAT)を期間限定で引き下げた。しかし、その経済効果は限定的だったとされている。東京財団政策研究所・研究主幹の森信茂樹氏が書いた「欧州の消費税減税はどう評価されているのか」という記事を引用する。
引下げの効果についてシンクタンクの評価を見ると、消費税の引下げによる消費増の効果は限定的で、期待された効果は得られなかったと結論している。その主な原因は、引下げ分の一部が企業の手元に残ったことを指摘している。(Ifo 2021年「Has the Reduction in Value-Added Tax Stimulated Consumption?」)
また、英国ガーディアン紙(2020年7月14日付)は、「多くの企業は消費税引下げ分をポケットに入れる予定だ。ナショナルギャラリーは減税分を美術館の修復に充てる予定だ」と伝えている。
つまり、食料品に限定する場合であれ、全体を対象にする場合であれ、日本でも消費減税に踏み切ったところで、企業の内部留保が増えたり、富裕層が高級外車を爆買いしたりするだけで、庶民の暮らしぶりはそれほど変わらないということだ。
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