「どれで払う?」は終わるのか PayPay×Visaが挑む“お金の出どころ”問題(2/4 ページ)

» 2026年02月16日 08時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

「人類には早すぎた」先行者

 この発想を日本で最初に形にしたのが、三井住友フィナンシャルグループのOliveだった。2023年3月に始まった「フレキシブルペイ」は、1枚のカードにクレジット・デビット・ポイント払いの3つのモードを載せ、アプリで切り替えて使える仕組みだ。Visaによれば、利用者の約70%が資金源の切り替え機能を使っているという(参照リンク)。一定の需要はあった。

Visaの「Flexible Credential」

 だが、現実の評価は割れた。「1枚でカバーできるから財布がスッキリした」「家計管理がしやすい」という声がある一方で、Xには「複雑怪奇は人類にはまだ早過ぎた」という投稿も見られた。Oliveを操作する三井住友銀行アプリのレビューを見ると、賛否がほぼ五分五分に分かれている。

 問題の本質は「切り替えたはずなのに、思った通りにならない」ことにあった。iDで支払うと、モード設定に関係なくデビット扱いになる。ネット通販では、注文時ではなく商品出荷時のモードが適用され、数週間前にクレジットで買ったつもりの商品が、デビットとして口座から即時引き落とされる。

 切り替えを忘れたまま残高不足でエラーが出て、レジで立ち往生する。アプリ上の「選択」と、決済ネットワーク側で行われる「処理」が食い違う場面があまりに多かった。

 結局、ヘビーユーザーの間では「モードはクレジットに固定して触らないのが一番安全」という運用が広まった。切り替えられることが売りの機能を、切り替えずに使う。皮肉な結論だが、ここに教訓がある。支払いのたびに利用者が判断し、手動で切り替えるという設計そのものに無理があったのだ。

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