人手不足による倒産の中でも、従業員や経営幹部などの退職がきっかけとなったケース(以下、従業員退職型)が増加している。帝国データバンクの調査によると、2025年に発生した人手不足倒産427件のうち、124件が従業員退職型の倒産だった。集計可能な2013年以降で初めて年間100件を超え、過去最多を更新した。
業種別に見ると「建設業」(37件)が最も多かった。業務遂行に不可欠な資格を持つ現場作業員や営業担当が相次いで退職し、事業運営が困難になったケースが目立った。老人福祉施設やソフトウェア開発といったIT産業、美容室などの「サービス業」(29件)、「製造業」(21件)が続いた。
特に建設やIT産業では、従業員の退職により外注に頼らざるを得ず、コストの増加で収益確保が困難となった結果、資金繰りが悪化したケースが複数あった。また、専門人材や部門の中心人物が退職し、業容の縮小を迫られたケースもあった。
転職市場が活況となる中、賃上げや福利厚生の改善によって良い人材を確保する動きが広がり、「待遇改善をしないことによる人材流出リスク」が中小企業を中心に高まっている。一方、賃上げしたくても業績悪化などを理由に賃上げができない企業も多い。
帝国データバンクは「今後も従業員に対し、十分な報酬を支払う余力のない中小零細企業を中心に、従業員退職型の倒産が高水準で推移する可能性がある」と指摘する。
調査の集計期間は2013年1月〜2025年12月31日、集計対象は負債1000万円以上で法的整理による倒産。なお2024年以前の数値については、最新の情報を基に再集計した。
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