また、企業にダイバーシティが必要なもう一つの理由が、不祥事を防ぐためのガバナンス強化としての効果だ。
同質化した組織はしばしば常識にとらわれてしまう。しかしその常識は、時代に応じて変化するもの。その常識が、今の社会全体の常識と一致しているとは限らない。組織内部で共有された“ローカルな正しさ”が、外部から見れば“非常識”になっている可能性もある。
同質性が高まるほど、組織は内に閉じていく。異なる意見や外部の視点が存在してこそ、初めて「それは本当に大丈夫か?」という問いが生まれる。ダイバーシティ施策は、イノベーション装置であると同時に、リスクマネジメント装置にもなるのだ。
もっとも、ダイバーシティが常に最適解とは限らない。企業のフェーズによっては、むしろ「同質性」が武器になる場合もある。
例えば創業期やスタートアップ段階では、気の合う仲間が同じ方向を向いて走ることが何より重要だ。多様性による意見の衝突は、スピードを削ぐ要因にもなり得る。
同様に、圧倒的に強いプロダクトを持ち、トップダウンで市場を席巻しているフェーズにおいても、同質的な組織の方が実行スピードの面で優位に立つ場合がある。
クレディセゾンにおいても1980年代に「セゾンカード」という市場優位性を持つプロダクトが誕生したばかりの時期は、モノリシック(単一的)な組織体制が推進力を生んでいた。しかしその後、同社は単一のプロダクトに頼るのではなく、多角的な事業を展開する形へと発展。イノベーションの創出が求められ、多様性のある組織体制が力を発揮しているという。
現在、同社のボードメンバーのうち、プロパーでクレディセゾンに入社しているのは水野社長一人。他の役員は異なる業界やバックグラウンドを持つ「外の知」を持つ人材だ。
「セゾンカードという強いプロダクトの勢いに乗り、業績が良くなればなるほど組織はどんどん同質化していきました。そしてある時、業績も伸び悩むようになりました。現在のように多様なボードメンバーによる経営体制へと移行して以降、業績は回復傾向にあります」と水野社長。
ボードメンバーが集まる会議では、意見の衝突は日常茶飯事だという。しかし、この衝突が、同質化を防ぎ、イノベーションの創出に貢献している。
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