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「セゾンカードの成功」こそ敵だった? クレディセゾン社長が捨てた“波風の立たない意思決定”(2/3 ページ)

» 2026年02月19日 07時00分 公開
[中根ほづ美ITmedia]

クレディセゾンが会議で“衝突”を歓迎するワケ

 また、企業にダイバーシティが必要なもう一つの理由が、不祥事を防ぐためのガバナンス強化としての効果だ。

 同質化した組織はしばしば常識にとらわれてしまう。しかしその常識は、時代に応じて変化するもの。その常識が、今の社会全体の常識と一致しているとは限らない。組織内部で共有された“ローカルな正しさ”が、外部から見れば“非常識”になっている可能性もある。

 同質性が高まるほど、組織は内に閉じていく。異なる意見や外部の視点が存在してこそ、初めて「それは本当に大丈夫か?」という問いが生まれる。ダイバーシティ施策は、イノベーション装置であると同時に、リスクマネジメント装置にもなるのだ。

 もっとも、ダイバーシティが常に最適解とは限らない。企業のフェーズによっては、むしろ「同質性」が武器になる場合もある。

 例えば創業期やスタートアップ段階では、気の合う仲間が同じ方向を向いて走ることが何より重要だ。多様性による意見の衝突は、スピードを削ぐ要因にもなり得る。

 同様に、圧倒的に強いプロダクトを持ち、トップダウンで市場を席巻しているフェーズにおいても、同質的な組織の方が実行スピードの面で優位に立つ場合がある。

 クレディセゾンにおいても1980年代に「セゾンカード」という市場優位性を持つプロダクトが誕生したばかりの時期は、モノリシック(単一的)な組織体制が推進力を生んでいた。しかしその後、同社は単一のプロダクトに頼るのではなく、多角的な事業を展開する形へと発展。イノベーションの創出が求められ、多様性のある組織体制が力を発揮しているという。

 現在、同社のボードメンバーのうち、プロパーでクレディセゾンに入社しているのは水野社長一人。他の役員は異なる業界やバックグラウンドを持つ「外の知」を持つ人材だ。

 「セゾンカードという強いプロダクトの勢いに乗り、業績が良くなればなるほど組織はどんどん同質化していきました。そしてある時、業績も伸び悩むようになりました。現在のように多様なボードメンバーによる経営体制へと移行して以降、業績は回復傾向にあります」と水野社長。

 ボードメンバーが集まる会議では、意見の衝突は日常茶飯事だという。しかし、この衝突が、同質化を防ぎ、イノベーションの創出に貢献している。

photo03 多様な経歴を持つボードメンバーによって活発な議論が行われている

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