多様な意見を経営に反映するため、クレディセゾンが注力している試みの一つが、トップと現場を直接つなぐ「スタッフミーティング」。水野社長が少人数の社員と定期的に対話する場だ。参加者は1回当たり約20人で、年間約40回開催している。
スタッフミーティングで挙がった意見について、水野社長から共有を受ける機会があるという小野取締役は、この取り組みの価値を次のように話す。
「通常の報告ルートでは上がってこないような意見の共有をよく受けます。私は、これもダイバーシティの一例だと考えています。ダイバーシティの取り組みというと、女性管理職比率を上げるなど大きな取り組みに注目しがちですが、このようにダイバーシティにつながる身近な取り組みもあると感じています」(小野取締役)
もっとも、単にスタッフミーティングのような場を設けただけで、従業員の本音が聞けるとは限らない。発言しやすい心理的安全性があってこそ、多様性は機能する。
入山教授によると、心理的安全性を作り出すポイントは、上位の役職者が「話し過ぎない」ことだと指摘する。これからの時代、多様な組織を作るためにはトーク番組『アメトーーク!』(テレビ朝日)の司会である“ホトちゃん”(蛍原徹)を目指すべきだという。
「『アメトーーク!』を見ていると、司会であるホトちゃんの発言数は実は多くありません。ファシリテーターとして、ひな壇の芸人たちに発言を促すのがほとんどです。これにより参加者の心理的安全性が上がり、皆が積極的に発言する空気が生まれています」(入山教授)
これからの時代、チームのタスク管理はAIエージェントが担うケースも出てくるだろう。その場合、管理職と呼ばれるミドルリーダーが担うべき役割は「モチベーター」「コーチ」「ファシリテーター」だという。
リーダー層が、いかに自ら発言しすぎずファシリテーターに徹することができるか。これが心理的安全性の高い組織を作り、ひいてはダイバーシティ経営につながっていく。
異なる立場の人が安心して発言できること。そして、その違和感や衝突を、組織の中で“消さない”こと。多様な声が自由に交わらない組織に、イノベーションは生まれない。
ダイバーシティは慈善活動ではなく、企業の持続的な成長を左右する経営課題だ。異なる意見やマイノリティーの声を排除するのではなく、それらをすくい上げ、組織の中で掛け合わせ、新しい価値へと転換していく。その営みを継続できる企業こそが、変化の激しい環境下で競争力を保ち続ける。
多様性を掲げること自体が目的ではない。異なる声をいかに経営の意思決定に組み込み、次の成長につなげられるか。その覚悟と設計力こそが、これからの経営者に問われている。
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【概要】クレディセゾンでは2019年より内製開発を武器としたDXを推進してきました。本年度からは「CSAX戦略」を掲げて全社員にChatGPT Enterpriseを配布。「全事業部、全社員の業務を、AIを前提に再設計」し、2019年からの累計で300万時間の業務削減を目指します。本セッションではCSAX戦略の全容と、パイロットプロジェクトで得られたROIや成果についてお話しします。
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