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「セゾンカードの成功」こそ敵だった? クレディセゾン社長が捨てた“波風の立たない意思決定”(3/3 ページ)

» 2026年02月19日 07時00分 公開
[中根ほづ美ITmedia]
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リーダーは『アメトーーク!』のホトちゃんに学べ

 多様な意見を経営に反映するため、クレディセゾンが注力している試みの一つが、トップと現場を直接つなぐ「スタッフミーティング」。水野社長が少人数の社員と定期的に対話する場だ。参加者は1回当たり約20人で、年間約40回開催している。

 スタッフミーティングで挙がった意見について、水野社長から共有を受ける機会があるという小野取締役は、この取り組みの価値を次のように話す。

 「通常の報告ルートでは上がってこないような意見の共有をよく受けます。私は、これもダイバーシティの一例だと考えています。ダイバーシティの取り組みというと、女性管理職比率を上げるなど大きな取り組みに注目しがちですが、このようにダイバーシティにつながる身近な取り組みもあると感じています」(小野取締役)

 もっとも、単にスタッフミーティングのような場を設けただけで、従業員の本音が聞けるとは限らない。発言しやすい心理的安全性があってこそ、多様性は機能する。

 入山教授によると、心理的安全性を作り出すポイントは、上位の役職者が「話し過ぎない」ことだと指摘する。これからの時代、多様な組織を作るためにはトーク番組『アメトーーク!』(テレビ朝日)の司会である“ホトちゃん”(蛍原徹)を目指すべきだという。

 「『アメトーーク!』を見ていると、司会であるホトちゃんの発言数は実は多くありません。ファシリテーターとして、ひな壇の芸人たちに発言を促すのがほとんどです。これにより参加者の心理的安全性が上がり、皆が積極的に発言する空気が生まれています」(入山教授)

 これからの時代、チームのタスク管理はAIエージェントが担うケースも出てくるだろう。その場合、管理職と呼ばれるミドルリーダーが担うべき役割は「モチベーター」「コーチ」「ファシリテーター」だという。

 リーダー層が、いかに自ら発言しすぎずファシリテーターに徹することができるか。これが心理的安全性の高い組織を作り、ひいてはダイバーシティ経営につながっていく。

photo04 クレディセゾンでは部門をまたいだ交流の場も積極的に作っている

 異なる立場の人が安心して発言できること。そして、その違和感や衝突を、組織の中で“消さない”こと。多様な声が自由に交わらない組織に、イノベーションは生まれない。

 ダイバーシティは慈善活動ではなく、企業の持続的な成長を左右する経営課題だ。異なる意見やマイノリティーの声を排除するのではなく、それらをすくい上げ、組織の中で掛け合わせ、新しい価値へと転換していく。その営みを継続できる企業こそが、変化の激しい環境下で競争力を保ち続ける。

 多様性を掲げること自体が目的ではない。異なる声をいかに経営の意思決定に組み込み、次の成長につなげられるか。その覚悟と設計力こそが、これからの経営者に問われている。

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