「令和のシール騒動」が浮かび上がらせた格差 これまでのブームと何が決定的に違うのか廣瀬涼「エンタメビジネス研究所」(2/3 ページ)

» 2026年02月20日 07時30分 公開
[廣瀬涼ITmedia]

加熱した「令和のシール交換ブーム」の問題点

 シール交換ブームの中でも、とりわけ象徴的な存在となっているのが「ボンボンドロップシール」である。ボンボンドロップシールは、大阪市に本社を構える文具メーカーのクーリアが企画・製造している。

 最大の特徴は、圧倒的な厚みと透明感にある。硬質な樹脂で固められたシールは、ぷっくりと立体的で、光にかざすとキラキラと輝く。指でつまむと、まるで本物のドロップ(あめ玉)を手にしているかのような、かわいさがある。サンリオやディズニーといった人気キャラクターのシールを展開している。

ボンボンドロップシール(画像:クーリア公式Webサイトより)

 2024年の発売以降、累計出荷数は急伸し、2025年11月末時点で1300万枚を突破した。『日経トレンディ』の「2025年上半期ヒット大賞」を受賞するなど、単なるヒット商品を超え、文具というカテゴリーを越境した社会現象として認識されつつある。

 ところが、このブームは単なる流行の域を超え、行き過ぎとも言える状況を生み出した。入手困難化が進んだことで、販売の現場では混乱も起きている。

 その象徴的な出来事が、衣料品チェーン「しまむら」グループのネット販売サイト「しまむらパーク」における予約販売中止である。しまむらは1月27日午後1時から「ボンボンドロップシール」の予約販売を予定していたが、アクセスが殺到し、販売が困難になったとして直前に中止を発表した。

 筆者自身も、たまたま別の商品を目的に同Webサイトへアクセスしており、デジタル整理券の順番待ちで約30分待機したのち、販売開始数分前にようやくサイトへ入ることができた。しかし開始1分前に突如として販売中止が告知され、購入は叶わなかった。

しまむらのオンラインサイトで販売開始予定だった全ての商品が購入できなくなってしまった(画像:筆者提供)

 SNS上では、ボンボンドロップシール目当てのアクセス集中が原因だと指摘されており、その影響の大きさを実感させられる出来事だった。なお、しまむらは同シリーズについてオンラインでの再販売は「行わない」と発表している。

 こうした混乱は、しまむらに限った話ではない。足立区生物園も2月5日、公式Webサイトでボンボンドロップシールの販売中止を発表している。また、1月27日には渋谷ロフトが安全確保とトラブル防止を理由に「立体シール」の販売を停止した。横浜のSPINNSなどでも同様に販売中止の措置が取られている。

 手に入らないにもかかわらず、欲しい人が多い。その需給の歪みは、ボンボンドロップシールを転売市場へと押し上げた。現在、フリマサイトなどでは正規価格が1枚500円程度であるにもかかわらず、数千円から1万円近い金額で取引されている例も見られる。

 さらに、この価格の高騰はオンライン上にとどまらない。実店舗においても正規価格を超える金額で販売されるケースが確認されている。2月3日には、とあるファミリーマートの店舗が1枚1360円で販売していたことが話題となった。

 最近では偽物も出回っている。中国語や韓国語などの外国語表記がある商品が偽物として確認されており、需要の高さに便乗した模倣品の流通が問題となっている。販売元であるサンスター文具は、公式WebサイトやSNSを通じて正規品との見分け方を公開し、注意喚起を行っている。

ボンボンドロップシールの模倣品も出回るようになってきているという(画像:サンスター公式webサイトより)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR