花粉症の患者数が年々増えており、いまや「国民病」ともいわれるほど広がっている。
パナソニックの調査「花粉による労働力低下の経済損失額2026」によると、花粉症による1日の経済損失は約2450億円に上る。1日のうち、花粉症により仕事のパフォーマンスが低下していると感じる時間は約3.2時間という結果もみられた。
本格的な花粉シーズン到来を前に、花粉が飛散しない地域を「避粉地」として打ち出し、観光やワーケーション需要などを取り込んでいるケースがある。
北海道の東部、太平洋沿岸に位置する「釧路市」も避粉地の一つだ。花粉症の主な原因となるスギやヒノキが自生していないとされる地域であり、市としてもその点をアピールしている。市の担当者は「シラカバなどは自生しているが、その花粉量は微量」と話す。
避粉地という特性を生かし、釧路プリンスホテルは2020年から、宿泊プラン「花粉ゼロの釧路で快適滞在!高層階客室グレードアッププラン」を販売している。販売期間は、例年花粉の飛散量が多い2〜4月末。プラン名の通り、15階以上の高層階客室へのアップグレードを確約している。太平洋や夕日が一望できる客室を用意することで、避粉以外の価値も付与した。
釧路プリンスホテルの広報担当者は「花粉症に悩まれている人に対して『避粉』という旅の選択肢を提案したいと考えました。『春は我慢の季節』ではなく、『快適に過ごせる季節』へ。そんな思いから本プランを企画しています」と話す。
これまで60代の利用が中心だったが、近年は30〜40代の利用者も増加傾向とのことだ。男女比は男性がやや多い傾向にある。滞在日数は1〜2泊が中心だが、1〜2週間の長期滞在者もいる。
利用者のニーズとしては、避粉を目的に大自然でアクティビティを満喫したり、港町ならではの海の幸を楽しんだりしたいという声が多いという。それに加え、近年はワーケーションなどのビジネス利用も広がっている。
北海道といえば「夏の避暑地」と「冬のスポーツ」という2軸の印象が強い。一方、春や秋には観光需要が落ち込む傾向にあるので、こうした「避粉地プラン」などの新しい取り組みを始めたのか。
広報担当者は「シーズン通してみると落ち着いている時期ではありますが、冬の野鳥撮影・オホーツクの流氷など需要はあります。釧路市は夏の『避暑地』として徐々に認知が高まってきていますが、その地域特性は春にも生かせるのではないかと考えました」と説明する。
2020年に販売を開始した当プランは、2026年の予約数が初年度と比べて約8倍に増加した。花粉症に悩む人が増えるほど、「花粉の少ない場所」という地域特性が、新たな観光資源として注目されていくかもしれない。
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