ホルムズ海峡封鎖「本当の恐怖」 原油高騰の裏で、日本の食卓を支える「あれ」が届かなくなる日古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(2/2 ページ)

» 2026年03月19日 06時00分 公開
[古田拓也ITmedia]
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野菜の種、9割は海外産 日本が抱える二重のリスク

 農林水産省の統計によれば、日本の野菜自給率は80%とされている。この数字だけを見れば、野菜に関しては「国内でまかなえている」と安心する向きもあるだろう。しかし実態は大きく異なる。

 日本で使われている野菜の種苗の約90%は、実は外国で生産されたものだ。つまり、国産の種苗だけで計算し直すと、野菜の実質的な自給率はわずか8%程度にまで急落する。

 肥料がなければ今のペースで種から野菜を作れない。肥料が届かなくなるリスクに加えて、そもそも「植えるための種」自体も海外に依存しているという、二重の脆弱性を日本の農業は抱えている。

「見えない危機」にこそ、備えが必要

 ガソリン価格の高騰は、国民の誰もが「見える」危機だ。ガソリンスタンドの電光掲示板に表示される数字は、報道されるまでもなく生活者の目に飛び込んでくる。

 一方、肥料不足は見えない危機である。農家の倉庫に肥料の在庫がどれだけ残っているか、次の作付けシーズンに必要な量が確保できるのか──。こうした情報は、消費者の日常には届かない。影響が食卓の価格として可視化されるのは、数カ月から半年後だ。その時間差こそが、この問題の危険性を増幅させている。

 2022年のロシア・ウクライナ戦争時における肥料高騰では、農水省が緊急支援策を講じた。しかし、ホルムズ海峡の封鎖はその当時よりも深刻でありながら、政策も消費者の視点も意識の外にあるように思われる。

 国連貿易開発会議(UNCTAD)は3月10日の報告書で、ホルムズ海峡の混乱がエネルギーと肥料の供給に重大な影響を与えていると警鐘を鳴らしている。

 半年後に食卓を襲う深刻な食料不安を回避するには、エネルギー対策と同等の熱量で、肥料備蓄や国内採種体制の強化を急がなければならない。

 今後は企業・政府はエネルギーだけでなく食料も含めた総合的なサプライチェーンリスクへの対処が求められる。

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