FP技能士センター正会員。中央大学卒業後、フィンテックスタートアップにて金融商品取引業者の設立や事業会社向けサービス構築を手がけたのち、広告DX会社を創業。サム・アルトマン氏創立のWorld財団における日本コミュニティスペシャリストを経てX Capital株式会社へ参画。
中東情勢の緊張が高まる中、イラン側がホルムズ海峡の封鎖に乗り出した。
1日当たり約90隻が通航していた世界最大規模の原油航路は、もうほんの数隻しか出入りしていない状況だ。
WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は一時119ドル台まで急騰。エネルギーコストへの不透明感が募っている。政府は3月16日に石油備蓄の放出を開始し、燃料価格抑制を急いでいる。
しかし、ホルムズ海峡を通過するのは原油だけではないことを知っておきたい。我が国の日本の食料を支える「あれ」が届かなくなる日が近いかもしれない。
JETRO(日本貿易振興機構)によれば、世界の肥料海上輸送量のうち約3分の1がホルムズ海峡を通過するという。
また、化学肥料の三大要素である窒素・りん酸・カリウムのうち、窒素肥料の主原料となる尿素は天然ガスから製造され、カタールやサウジアラビアといったペルシャ湾の湾岸諸国が世界の主要な輸出元だ。
3月10日時点で、尿素や硫黄など計98万トン規模の肥料を積んだ船舶21隻がペルシャ湾内に閉じ込められていることが欧州の船舶動静調査会社であるケプラーによって明らかになった。
化学肥料の原料となる尿素、りん安、塩化加里は、ほぼ全量を輸入に依存している。原料の多くを海外に依存し、その主要ルートであるホルムズ海峡が閉鎖してしまった……。日本にとって、この構造的な脆弱性が大きな問題となっている。
中東情勢の悪化は複数の原料供給に同時にリスクをもたらす。2022年のロシア・ウクライナ侵攻時に起きた「肥料ショック」の記憶は、まだ農家の脳裏に焼きついている。
肥料不足の影響は、エネルギー価格の高騰とは本質的に異なる性質を持つ。
肥料がいくら高騰しても「少し減らす」という選択は合理的とならない。一般に、肥料の投入量を削減すると、削減量以上に穀物の収穫量が落ちるとされている。作物の成長にとって肥料は「あれば便利で、なくても育てられる」ぜいたく品のようなカテゴリーではないのだ。
肥料が予定通りに届かなければ、農家は高騰した価格でも購入して利益を圧迫するか、施肥量を減らして収量低下を甘受するか、作付け自体を諦めるかの選択を迫られる。
そして、いずれの選択も最終的には食料価格の上昇として消費者に跳ね返ってくる。
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