『超かぐや姫!』はなぜここまでヒットしたのか。数土氏は主に4つの理由を挙げる。
1つ目は、監督を務めたアニメクリエイター・山下清悟氏への注目度の高さだ。人気アニメ『呪術廻戦 第1期』『チェンソーマン』『うる星やつら』などのオープニング映像演出を手掛けてきた実績があり、本作が初の長編監督作品となることから、公開前から期待感が高まっていた。
2つ目は、インターネット文化との親和性が高かったことだ。作中で多く登場する楽曲は、音声合成ソフトを用いた楽曲制作を手掛ける「ボカロP」と呼ばれる人気クリエイターらが提供した。ボカロ曲の多くはネット発の音楽シーンで支持を集めてきたことから、仮想空間を舞台に描く『超かぐや姫!』との相性が良かったと考えられる。
また、配信前から主人公らが楽曲を歌うミュージックビデオを複数公開するなど、SNSを活用したプロモーションを展開していた点も大きい。
3つ目は、作品自体のストーリー性だ。数土氏は「全体を通じてハッピーな話になっている。最近の長編アニメは深刻な話も多いので、その面では親しみやすかったのではないか」と指摘する。
そして4つ目が、ファンコミュニティーの熱量だ。本作は当初、一般的な映画のような大規模な宣伝を行っていなかったことから、作品を知ったファンの間で「自分たちが見つけた」という感覚が生まれやすかったという。
こうした“発見した喜び”はSNS上での発信意欲につながる。先に魅力に気付いた一部のファンが「面白い」と発信し、それを見た周囲のユーザーが次々と反応する。口コミによる拡散が連鎖的に起き、大きな盛り上がりを生んだ。
さらに『超かぐや姫!』は当初、限定的な劇場公開からスタートした点も特徴的だ。上映館数を絞ったことで観客が集中し「満席」「盛り上がっている」といった空気感が生まれやすかった。
映画館は単に作品を鑑賞する場ではなく、他の観客と体験を共有する空間でもある。知名度が十分でない作品の場合、大規模公開では客席が埋まらず「人気がない」という印象を与えてしまうこともあるが、本作はその逆だった。
数土氏は今回のヒットについて「小さく始めて、大きく広げていく形が良かったのではないか。アニメ映画における公開規模の在り方にも一石を投じただろう」と話す。
その熱量は劇場施策にも波及している。3月20日には、劇場内でスマートフォンの一部使用を認め、鑑賞しながらSNSにコメントを投稿できる「全国一斉ポスト上映」を開催する。Netflixからの同時視聴も可能で、ファン同士がリアルタイムで盛り上がれる仕組みとなっている。さらに3月21〜22日には、観客が声援やリアクションを楽しめる「発声可能上映」を全国規模で実施する。
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