データセンターの運営に関しては、電力を含めたエネルギーの不足やコスト増が問題視されている。1棟のデータセンターで使用できる電力は有限だ。その多くはサーバに使われるため、残された電力で、瞬時に、かつ効率的に冷却する必要がある。「このバランスに悩むお客さまは多い」(桑原さん)
桑原さんは「省エネ性の高い次世代モデルを出していかなければいけない」としつつ、さまざまな技術を掛け合わせ、全体で電力を使いすぎない設計を実現することが重要だと指摘する。
「設備投資に必要な資金が5倍、10倍と増している中、冷却設備にかけられるコストは限られています。『大空間冷却で全体をこれくらい冷やしつつ、〇〇の場合はチップ冷却でこのぐらい冷やせるようにしておきましょう』など、必要以上に冷却をしすぎない(電力を使いすぎない)、バランスの取れた設計にすることが重要です」(桑原さん)
過剰な冷却はコスト増につながる。初期投資とランニングコスト(電力)の最適化をどう図るか、M&Aによりラインアップを拡充した今、より顧客に刺さる提案を仕掛けていきたいと意気込む。
複数の企業買収を経て、ダイキン自身の役割も変わりつつあると、施さんは指摘する。
従来の顧客はゼネコンや設計事務所などの建設業界が多かった。「これまでは“設備屋さん”という印象も強く、空調プレイヤーという立ち位置でした」(施さん)
DDCSやチルダインはデータセンターに特化してビジネスを展開していたため、買収を通じて、生成AI関連業界の中核になる主要プレイヤーとの人脈を新たに獲得できた。それらの企業と、最新のチップを冷やす技術、空調における省エネの実現などについて会話を進められている点も、買収のメリットとなった。
一方で課題もある。チップ直接冷却の扱いを開始したことで、これまで以上にサーバの仕様やチップの規格や性能に踏み込んだ提案が求められるように。営業スタイルも変化が求められている。
「買収で獲得したかったことの1つに、彼らが持っている技術はもちろん、データセンター特有の知識、営業のノウハウも獲得したいと考えていました。他社より1日でも早く、ドアをたたいて提案できた方が、当然受注確率は上がると考えています。どのタイミングで、何を持っていくとお客さまに響くのか、われわれが営業で口説き落とさないといけないキーマンは誰か、これまでの経験とは全く違うケースも多いため、今後さらに攻略していきたいです」(桑原さん)
今後はM&Aで得た人材を中核に据え、組織編成や人材教育を強化していく方針だ。
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