株式会社スタジオ02 代表取締役。横浜銀行勤務時代、全銀協へ出向した際はいわゆるMOF担として、現メガバンクトップなどと行動を共にして政官界との調整役を務めた。06年に支店長職をひと区切りに退社、現在は金融機関、上場企業、ベンチャー企業のアドバイザリーとともに情報通企業アナリストとして活動している。
米大手保険会社の日本法人であるプルデンシャル生命保険(以下、プルデンシャル生命)で発覚した金銭詐取などの不適切行為。合計約31億円にも上ると言われており、信用第一の金融機関ではあり得ない不祥事として大きな波紋を呼んでいます。
1991年から2025年の間に顧客約500人から、約31億円をだまし取っていたという前代未聞の不祥事です。しかもこの不正行為に関わった社員及び元社員は106人にも上るといいます。最大の違和感は、今回の不正行為が組織ぐるみのものではなく、100人を超える社員(含む元社員)たち個々人の行動であるという点です。
ある者は国内で未認可の投資商品や社員自身のお任せ運用に誘導し、その資金を持ち逃げしました。また、ある者は仮想通貨への投資をさせたものの、取引不能に陥っているとされています。別のケースでは、顧客から自己の運用資金を借用しながら、貸し倒れ状態になっているなど、手口はさまざまです。彼らはみな、示し合わせたわけではないそうで、このような不正が30年以上にわたって断続的に実施されてきたことに、驚きを禁じ得ません。
企業不祥事は一般的に「ムシ型不祥事」と「カビ型不祥事」に分類されます。
ムシ型不祥事とは、個人の私利私欲から個人が起こす(一部共犯者が存在する場合もある)不正です。害虫が虫食いのように組織をむしばむことから、この言い方がされています。横領、背任など、基本的に企業の利益と背反する行為です。単独犯行であるがゆえに、一般的には組織内での拡散性は限定的なものになります。
カビ型不祥事には、組織利益追求、組織防衛などの目的で、トップの明言や暗黙を問わぬ不正指示を受けて組織的な行動で不祥事となるケースがあります。また、組織防衛などを目的に、上層部や親会社、本社の了解を得ずに不正なやり方でその場を切り抜けるなどの行為が常態化するケースもあります。いずれのケースも「言いたいことが言えずに不正に走る」といった組織内の風通しの悪さが原因となっているのです。「カビ型」の名称は、カビが風通しが悪いところに生えることに由来しています。
日本の経営レベルの企業不祥事は、ほとんどがこのカビ型に分類されるものです。
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