プルデンシャル生命「前代未聞の不祥事」が起きたのは“必然”だった、と言えるワケ(4/4 ページ)

» 2026年03月26日 05時00分 公開
[大関暁夫ITmedia]
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改善策は全くの不十分 今後はどうなる?

 プルデンシャル生命は、もともと1979年にソニーと米PFGとの合弁により、ソニー・プルデンシャル生命としてスタートしています。1987年に合弁が解消、ソニー生命とプルデンシャル生命として、それぞれが国内で生命保険事業を展開するに至っています。

 ソニーは金融事業展開への足掛かりとして、米国の生命保険ビジネスを学び国内での新たなビジネス領域を作る目的で合弁事業に乗り出しました。米PFGは日本の生命保険マーケット事情を理解し、日本でビジネス展開する足掛かりとしたのです。

 しかしプルデンシャルは肝心の日本的経営については多くを学ぶことなく、米国流の徹底した実績至上主義を貫いたわけです。フルコミッションによる最高「億超え」の高額収入に魅せられ転職してきた営業社員は、完全個人主義の下で組織的な活動を強いられることはありませんでした。そして、実績以外は管理不在の野放し状態を続けた結果が、不祥事の山を築くことになったのでしょう。

 不祥事拡大の経緯を含めたその全貌は、第三者委員会の調査報告を待つ形とはなります。しかし、過去には複数の不祥事発覚があったはずであり、それを風土是正の機会にせず利益追求に走り続けた経営責任、組織責任は重大であると思います。本件はフルコミッション類似の報酬制度を持つ、全ての企業への警鐘でもあります。

 現在90日間の新規営業活動停止となっているプルデンシャル生命は、今後、フルコミッション制の報酬制度見直しや管理体制の強化を具体策として表明しています。しかし、それだけでは再発防止はできません。肝心の組織風土改革に関しては、表現も「改革」ではなく「改善」に留まり、何ら具体策も示されていません。

 日本企業とは異なる組織風土に由来した同時多発の不祥事を見るに、この風土を根底から作り直すことこそ、同社が取り組むべき最重要課題であるはずです。行動指針の改訂と浸透をはじめ、企業としての精神面および組織管理の両面からの抜本的再構築が必須です。営業権の売却などにより日本市場から一度完全撤退し、日本的風土を踏まえた経営姿勢と体制管理を学び、人心刷新での再出発も視野に入れるべきではないかと考えます。

著者プロフィール・大関暁夫(おおぜきあけお)

株式会社スタジオ02 代表取締役

横浜銀行に入り現場および現場指導の他、新聞記者経験もある異色の銀行マンとして活躍。全銀協出向時はいわゆるMOF担として、現メガバンクトップなどと行動を共にして政官界との調整役を務めた。銀行では企画、営業企画部門を歴任し、06年支店長職をひと区切りとして円満退社した。その後は上場ベンチャー企業役員などとして活躍。現在は金融機関、上場企業、ベンチャー企業のアドバイザリーをする傍ら、出身の有名超進学校人脈や銀行時代の官民有力人脈を駆使した情報通企業アナリストとして、メディア執筆者やコメンテーターを務めている。


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