AIの浸透が進んだとしても、企業が新卒採用を急激に減らすことは考えにくいとマイナビはみる。
同社の調査で、企業が採用数を決定する大きな要因として最も多かったのが「従業員の年齢構成」(52.2%)だ。
かつて就職氷河期やリーマン・ショック後に採用を絞った企業では、特定の年代が不足する「組織のゆがみ」に直面する。企業文化の継承には、毎年一定の若手を組織に注入し続けることが必要と考えられている。
日本企業の人手不足や、独自の雇用慣行なども影響しているようだ。
米国企業ではAI導入による人員削減の動きが見られるが、日本はむしろ、AIを使いこなすための「DX人材」を確保するために採用を維持、あるいは強化しようとする動きがある。
あずさ監査法人が国内246社を対象に実施した調査では、AIによる人材戦略への影響について「新たな人員が必要となるため、人員増加に取り組んでいる」と答えた企業が36%となり「人員削減、採用方針の見直し、配置転換に取り組んでいる」(27%)を上回った。
「日本は慢性的な人手不足に加え、ジョブ型雇用が主流の米欧とは異なり、職種を限定しない独自の新卒採用という雇用慣行があります。そのため、欧米のようなドラスティックな人員削減には至りにくい。社内にAIの知見を持つ人間がいないのであれば、外部から新たに採用して育成していくしかないという判断が働いているのは理解できます」(長谷川さん)
足元では新卒採用の枠組み自体に大きな変化は見られないが、AIによる職種ごとの「中身」は徐々に変わっていく。
マイナビの調査では、データ処理や定型的な資料作成などのルーチンワークは、半数以上の企業が「AIで代替できる」と考えている。代わりに顧客との関係構築や信頼関係を築き上げるといったヒューマンタッチな部分のスキルを新入社員に求める企業が多い。
選考基準もより高い“解像度”が求められる。
「AIでエントリーシート(ES)を簡単に作成できてしまうからこそ、企業側はESの文面だけでなく、続く面接での受け答えや一貫性を通じて、その人物の誠実さや熱意、総合的な人物像を見ていく必要がある」と長谷川さんは指摘する。
新卒採用市場は、AIによって「淘汰」されるわけではなく、人間だからこそ発揮できる価値を再定義する場として、より進化を遂げていくのかもしれない。
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