この記事は、書籍『ラーメンビジネス』(井手隊長/クロスメディア・パブリッシング)に、編集を加えて転載したものです。なお、文中の内容・肩書などは全て出版当時のものです。
長らくラーメン店の出店戦略は「都心・駅前が最適」というのが定説だった。オフィス街のランチ需要と駅前の高回転性は、個人店・チェーン店を問わず勝ちパターンとして扱われ、郊外型はどうしても分が悪いと言われ続けてきた。しかしコロナ禍をきっかけに、この常識は大きく揺らぐことになる。
緊急事態宣言で人の流れが止まり、テレワークが一気に普及。職住近接が加速したことで、これまで狙いづらかった郊外・住宅地でも客足が見込める状況が生まれた。
郊外のロードサイドに行列ができたり、駅から遠い場所に大繁盛店ができたりといった例が相次ぎ、個人店の中には今後は郊外が伸びると判断したところも少なくなかった。実際、「日高屋」や「天下一品」など都心型チェーンもロードサイド物件の確保に本格的に乗り出していた。
しかし、コロナが落ち着き、人の流れが再び都心へ戻り始めた現在、この郊外優位論はどこまで持続力があるのだろうか。「つけめんTETSU」創業者の小宮氏はすでに「その潮目は変わっている」と語っている。
コロナ中は確かに郊外店が強かった。だが、オフィス回帰が進み、都心の既存店の売り上げが戻り始めると状況は一変する。広さと家賃の安さを武器にした郊外出店の魅力は相対的に薄れ、「やはり都心が強い」という認識が業界の主流に戻りつつあるという。
もちろん、今も郊外やロードサイドで圧倒的に売れている店は存在する。しかし、それは郊外が強いのではなく、あくまで郊外で勝てるノウハウを持った店が強いという話だ。さらに重要なのは、郊外に生まれた新店の多くが、短期では成功しても5年、10年と継続できないケースが少なくないという事実である。
駅から遠い立地での成功は、一時的な流行やSNSバズによって生まれることはある。しかし、それが持続可能かと問われると、一部の名店を除き、長期的に生き残るのは難しいというのが現場の実感だ。
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