工場で働く人々の「誇りの醸成」に取り組むコプレックだが、これらは福利厚生や従業員エンゲージメント向上のためだけに実施しているのではない。
「産業革命で体力のない人でも活躍しやすくなったように、昨今のAIの進化によって、勉強の苦手な人でも業務を効率的に進められるようになったと考えています。そんな現在、必要とされる人材とは『共に働きたくなる人格を持つ人』です」
こうした考え方は企業にも当てはまる。今後は企業そのものの「人格」が問われる時代になり、社会や従業員に対して誠実であるかどうかが評価されるようになる。その意味でも、社内での誇りの醸成は重要な意味を持つと小林社長は考えている。「誇り」とは単なる情緒的なものではなく、企業の競争力を支える基盤となり得ることを示唆している。
「製造業で働く人々の誇りを醸成する」という小林社長の取り組みは、社内にとどまらない。社会全体に広げるため、2025年に一般社団法人Factory Pride Associationを設立した。「社員が誇れ、その家族も誇れる工場を目指す」などの理念に賛同し、製造業の地位を高める仲間を募集している。
Factory Pride Associationでは「カンファレンス」「アワード」の開催や「工場見学」などを通して工場を誇るための取り組みを共有する(Factory Pride Associationのプレスリリースより)興味深いのは、会員となる参加条件として会費を必須とするのではなく「Factory Pride 宣言」を掲げることを重視している点にある。
【Factory Pride 宣言】
「私たちの宣言の内容には、多くの人が共感してくれます。しかし、自社で宣言をするとなると慎重にならざるを得ない経営者が多いのが現状です。なぜなら、この活動がROI(投資収益率)にどう貢献するのかを示せていないからです。仲間を増やしていく上での課題となっています」
静岡の小さな町工場から始まった「誇りの醸成」は、日本の製造業の在り方を問い直している。この誇りの連鎖が広がった先には、日本のものづくりが再び世界をリードするための、新たな競争力の姿が見えてくる。
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