人手不足が強いる「余裕なき賃上げ」 過半数の企業が選んだ“防衛的”な生存戦略

» 2026年04月01日 07時00分 公開
[サトウナナミITmedia]

 名古屋商工会議所が1143社を対象に実施した調査によると、約7割の企業が賃上げを実施する方針だ。

 深刻な人手不足を背景に、業績の先行きに不安を抱えながらも、人材流出を防ぐために賃上げに踏み切らざるを得ない企業の姿が浮き彫りになった。

photo 第56回定期景況調査(写真AC)

7割が賃上げ しかしその中身は「余裕なき対応」

 「賃上げを実施する予定がある」「実施する方向だが具体的内容は未定」と回答した企業は71.0%に上った。企業規模別に見ると、小規模事業者でも中小企業や大企業と大きく変わらない水準だった。企業規模を問わず賃上げの動きが広がっている。

photo 企業規模別の2026年の賃上げ実施見込み(出所:プレスリリース、以下同)

 一方、主な取引先が一般消費者の企業では、賃上げの実施見込みが54.3%と、全体に比べてやや低かった。名古屋商工会議所は「コスト上昇分を十分に価格へ反映できていないことが影響している可能性がある」とコメントしている。

photo 2026年の賃上げ実施見込み/コスト上昇分に対して価格転嫁できた割合

 また、賃上げを実施しない理由については「原資に余裕がない」(45.3%)、「業績の見通しに不安がある」(42.1%)といった回答が多く、企業の経営環境の厳しさもうかがえる。

photo 賃上げを実施しない理由

 賃上げを予定している企業のうち56.7%が「原資に制約がある中で賃上げを実施する」と回答した。多くが「防衛的な賃上げ」にとどまっている実態が明らかになった。

 経営余力が十分でない中でも「防衛的な賃上げ」に踏み切る理由として「人材定着や採用強化のため」(76.8%)、「物価上昇による社員の生活負担への配慮」(70.5%)が上位を占めた。

photo 企業規模別の原資確保の状況
photo 賃上げを行う理由

 調査は2月9〜27日にインターネットで実施し、従業員を雇用する1143社の回答を分析した。

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