早期退職制度を実施する大企業が増えている。希望者には割増退職金に加え、大手の再就職支援サービスがパッケージとして提示される。退職者のその後のキャリアについて「再就職支援会社に任せているから大丈夫」と考えている人事担当者は少なくないだろう。
だが、その実態はどうか。再就職支援の現場は、理想とはかけ離れているケースも散見される。これまで3000人以上のシニアのセカンドキャリアを支援してきた立場から、シニア社員を社外に送り出す際に人事担当者が意識すべきことを解説する。
再就職支援の特徴の一つは、社員個人では申し込めないという点だ。職業安定法により、個人から金銭を受けて就職支援を行うことが禁じられているため、法人契約のみとなる。支援期間は1年間が一般的で、企業は従業員1人当たり数十万円を支払う。
依頼人数が多ければ割引価格も適用される。筆者のヒアリングベースでは1人当たり50万〜60万円が相場だが、3000人の再就職支援者を依頼した場合、1人当たり30万円程度まで下がることもあると聞く。3000人×30万円で9億円、というように一括で受注する仕組みだ。
問題はここにある。再就職支援会社は報酬を前払いで受け取るため、その後のサービスの質を高めるインセンティブが構造的に生まれにくい(もちろん最後まで丁寧に支援する企業もある)。
さらに、なるべく早く決めさせようとする力学も働く。一見良いことのように思えるが、時間をかけてより良い企業を探すよりも、期待値を下げさせて早期に決着させる方向に傾きやすい。
その結果、キャリアコンサルタントの人数は極限まで絞られ、面談の回数も最小限、就職支援セミナーの講師も費用を抑えた人選となる。結果的に、サービス品質の低下は避けられない。
中小企業は「消去法」で50代を採用する 早期退職の前に知るべき現実
SNSでオモチャ化する「謝罪会見」 プルデンシャルは何を読み違えたのか
倒産寸前なのに年収100万円アップ 売上38億円のV字回復を実現した、山梨のプリント企業の「決断と狙い」
年商54億円企業を「突然」継いだ兄弟 役員・社員が辞めていく中でも改革を続けたワケ
なか卯の「床に置かれた食器」問題 企業の沈黙が呼ぶ“将来の波紋”Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング