さらに深刻なのは、これらの民泊が「一条龍(イーティアオロン)」と呼ばれる中国系の完結型ビジネスモデルに組み込まれている実態だ。
「一条龍」とは、航空券の手配から、宿泊施設の運営、送迎、免税店での買い物まで、すべてを同国籍の資本系列で賄う仕組みを指す。この構造下では、宿泊客が支払う代金も、現地での消費も、その多くが日本国内の経済循環に入ることなく、国外の資本へ還流していく。
地域住民は騒音やゴミ問題、治安の悪化といった「負の外部性」だけを押し付けられ、地元にはほとんど経済的な恩恵が及ばない。このような「迷惑の輸出」とも呼ぶべき構図が放置されていることが、住民の不満を増幅させる最大の要因となっている。
3. 「オーナー不在」が招く構造的欠陥
筆者は、オーナーが同居しない、あるいは現場に責任を持って関与しない形態の民泊は、今後大幅に制限されるべきだと考えている。なぜなら、民泊において最も重要な「宿泊客への啓蒙と指導」が、不在オーナーには物理的にも心理的にも不可能だからだ。
宿泊客にとっても、管理人が不在で、かつ住民の顔も見えないマンションの一室は、単なる「ホテル代わりの箱」に過ぎない。そこには、その地域で生活を営む人々への敬意や配慮が生まれにくい構造がある。
トラブルが発生した際、現場に駆けつけて事態を収束させ、住民に謝罪し、再発防止策を講じる主体がいない。この「顔の見えない運営」こそが、地域コミュニティと対立する元凶である。
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