東京チカラめしの会社、今は「水産」で稼ぐ 売上の半分を占めるまでに成長、なぜ?(3/4 ページ)

» 2026年04月09日 07時30分 公開
[宮本建一ITmedia]

東京チカラめしの急拡大と急失速

 「東京チカラめし」は、店内で牛肉を焼き、たれを絡めて提供する”焼き牛丼”という新しさで人気を集めました。従来の牛丼とは一線を画す商品として支持され、三光マーケティングフーズは出店を加速化。急成長を遂げます。

東京チカラめ大阪日本橋店の「焼き牛丼」(画像:筆者撮影)

 長澤成博社長は集英社オンラインの取材の中で、急成長の要因として次の2点を挙げています。

  1. 「焼き牛丼」という新規性
  2. 「金の蔵」の収益に支えられた低価格戦略

 焼きたてならではのおいしさに加え、既存の牛丼とは異なる商品設計が差別化につながり、話題性だけでなく商品力の面でも評価を高めていきました。

 さらに、居酒屋「金の蔵」の好調な業績が出店を後押しします。十分なキャッシュを背景に、当時、比較的安価だった牛肉や米の調達力を強化。2011年6月の1号店オープンからわずか1年間で100店舗に迫る規模へ拡大し、2013年には133店舗に達しました。

 しかし、この躍進は長くは続きませんでした。急激な出店に人材育成が追い付かなかったのです。2週間で平均3店舗という出店スピードも、味のばらつきやサービス品質の低下を招きました。その結果、業績は悪化し、閉店に追い込まれていきました。

 長澤氏は、急拡大によって各店舗で十分なサービスを提供できなくなったことに加え、牛肉価格の高騰を要因として挙げています。さらに「東京チカラめし」への人員シフトにより、「金の蔵」の優秀な店長が流出し、既存事業の弱体化を招いたことも影響しました。共倒れのリスクを回避するため、同社は2014年に60店舗超の大量閉店に踏み切ります。

 この結果、2012〜2013年にかけて拡大した売上高は2014年以降に急減。ピーク時から100億円超の減収となりました。

2011年6月期〜2015年6月期の業績(画像:決算資料を基に筆者作成)

 その後、店舗再編や既存業態の立て直し、新業態「アカマル屋」の展開が奏功し、2016年6月期には営業黒字へ転換します。

 しかし、2018年6月期以降は再び赤字に転落。その背景には、若者の酒離れや中食需要の拡大、宴会需要の減少といった居酒屋市場の構造変化に加え、原材料費や人件費、物流費の上昇が収益を圧迫したことがありました。首都圏駅前を中心とする高固定費型の店舗構造も重荷となりました。

 さらに2020年には、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、主力事業の飲食店運営が軒なみ影響を受けました。需要は急減し、都心型居酒屋のビジネスモデルは大きく揺らぎました。

2016年6月期〜2020年6月期の業績(画像:決算資料を基に筆者作成)

 外食依存のリスクが顕在化したこの局面を受け、三光マーケティングフーズは事業構造の見直しを進めることになります。単なる回復を待つのではなく、別の収益源を模索する動きが本格化していきました。

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