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パフォーマンスが落ちた40代社員、理由は「怠慢」か? 組織を惑わすミッドライフクライシス働き方の見取り図(3/3 ページ)

» 2026年04月13日 07時00分 公開
[川上敬太郎ITmedia]
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ミッドライフクライシスは人生の転換期のサイン

 シニア以降のセカンドキャリアを考えた時、ミドル層の年代は準備期間にあたります。ところが、ミッドライフクライシスを感じやすくなっていれば、将来のことを考えようと思っても気分が落ち込み、不必要に暗いことばかりが頭に浮かびがちになります。

 セカンドキャリアに向けて準備したくても、不安や葛藤などの心理的ブレーキがかかるとストレスが生じて見えない壁となります。その要因が分からないままだと、思うように前に進めず、努力が足りないのではないか、自分はダメな人間なのではないかなどと自身を責めてしまいがちです。

 しかし、ミドル層に該当する人たちがミッドライフクライシスの存在を認識しておけば、不調を感じる正体の輪郭がはっきりし、客観的に現状を受け止めやすくなります。ミッドライフクライシスを知って「自分のことかも」と状況を整理でき、不安定になっていた気持ちと向き合いやすくなったとする声も聞かれます。

 ミッドライフクライシスは、ミドル層の時期に誰にでも起こり得る自然な心理的変化と言えます。雨が降ったのは自分のせいだと思う人はいないのと同じで、ミッドライフクライシスを感じたからといって自身を責める必要などありません。雨に合わせて傘をさすように対処すればよいはずです。

 また、ミッドライフクライシスを感じた時は人生の転換期を迎えたサインでもあります。頑張ってきた自分をねぎらいつつ過去を振り返り、仕事を含めたさまざまな接点との関わりを見直しながら、セカンドキャリアに向けて人生の歩み方を再プランニングする機会だと受け取ることもできます。

 これまで家族を支えるため、がむしゃらに働き走り続けてきたのであれば、今後は少しペースを落としてみることを考えてもいいでしょう。あるいは、ずっと趣味として続けてきたことをマネタイズして本業にするための準備をスタートさせてもいいかもしれません。

企業はこの“見えない不調”にどう向き合うべきか

 企業はミドル層に対してミッドライフクライシスを感じやすい年代であることを踏まえて接する必要があります。

 セカンドキャリアの準備を進めたくても、不安や葛藤が先に立って思うように取り組めない社員がいるかもしれません。パフォーマンスが思うように上がらない、気分の浮き沈みが激しくなるなどのケースも考えられます。

 それらの不調の原因を本人の心掛けや怠慢などと決めつけず、ミッドライフクライシスが影響している可能性も視野に入れるだけでコミュニケーションが取りやすくなったり、本人の気持ちが軽くなったりすることもあります。

 その上で、セカンドキャリアの形成に向けて伴走していくことができれば、定年後も見据えた関係構築が図りやすくなるはずです。少子化により人口減少が続き、将来に向けて慢性的な人手不足が懸念される中で、多くの職場にとってシニア層の戦力化は経営課題の解決策となり得ます。

photo04 ミッドライフクライシスを踏まえた企業側からの支援は、ミドル層の不安改善に加えて、将来の人材活用にもつながる(提供:ゲッティイメージズ)

 ミッドライフクライシスは、ミドル層になったら必ずしも感じるものではありません。「四十にして惑わず」と言ったとされる孔子は特別な例かもしれませんが、感じ方や向き合い方は人それぞれです。何も感じなければ、あえてミッドライフクライシスを意識する必要もないでしょう。

 ただ、正体不明の不安や葛藤を感じた時は「ミッドライフクライシスかもしれない」と頭の隅で認識しておくだけでも、気持ちが落ち着きます。セカンドキャリアに向けた準備も進めやすくなるのではないでしょうか。

著者プロフィール:川上敬太郎(かわかみ・けいたろう)

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ワークスタイル研究家。1973年三重県津市生まれ。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業の事業責任者、業界専門誌『月刊人材ビジネス』営業推進部部長 兼 編集委員の他、経営企画・人事・広報部門等の役員・管理職を歴任。所長として立ち上げた調査機関『しゅふJOB総研』では、仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層を中心にのべ5万人以上の声を調査。レポートは300本を超える。雇用労働分野に20年以上携わり、厚生労働省委託事業検討会委員等も務める。NHK「あさイチ」「クローズアップ現代」他メディア出演多数。

現在は、『人材サービスの公益的発展を考える会』主宰、『ヒトラボ』編集長、しゅふJOB総研 研究顧問、すばる審査評価機構 非常勤監査役の他、執筆、講演、広報ブランディングアドバイザリー等に従事。日本労務学会員。男女の双子を含む4児の父で兼業主夫。


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