アパホテルのインバウンド比率は3割超と、東横インより高い点が特徴だ。また、元谷外志雄氏の保守的な政治信条から、中国・韓国よりも米国・台湾の客数が多い。宿泊期間が長く、単価の高い欧米・豪州客の多さはアパホテルの強みとなっている。
インバウンド客にとって、日本のホテルの相場は分かりにくいものだ。旅行の時しか利用しないため、価格が大きく変動してもブランドイメージの毀損(きそん)につながりにくい。
また、円安の影響で日本の物価は他の先進国に比べ、1.5〜2倍程度安いと見られている。欧米客にとって2万円を超える価格は高値ではなく、大幅な価格変動があったとしても受け入れられる範囲に収まっている。
経営体制を比較すると、東横インは直営主義であるのに対し、アパホテルは直営とFC(フランチャイズ)の両軸で展開している。約14万室(アパ経由で予約可能な他ブランド施設「アパ直参画ホテル」を含む)のうち、1万室を加盟店が運営している。
近年、老朽化した施設や集客に悩む宿泊業者によるアパグループへの加盟が相次いでいる。加盟店が支払うロイヤルティーは売上高の4%以上だ。こうした事情も施設ごとの価格差をもたらしている。
インバウンドの増加で他の宿泊施設も価格変動が大きくなり、アパホテルに対する批判の声は、以前ほど聞かれなくなった。むしろ上限を設定する東横インの方が珍しい施設になりつつある。国内のビジネス客かインバウンド客か、両社の価格戦略の違いはターゲット層の違いに基づいているのだ。
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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