なぜ「串カツ田中」は社名を変えるのか? “脱・串カツ屋”で挑む1000店舗への成長戦略(3/3 ページ)

» 2026年04月27日 06時00分 公開
[山口伸ITmedia]
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「脱・串カツ田中」なるか

 コロナ禍の影響で2021年度の売上高は約50億円まで減少したが、翌年には100億円台まで回復した。2025年度の業績は、売上高約211億円・営業利益約12億円と、いずれも過去最高を更新した。

 コロナ期間中でも店舗数は減少せず、前述のファミリー層獲得が増収に貢献した。また、この間にSNS施策やメディア出演も強化しており、認知度拡大につながったとみられる。

 近年は、新業態の開拓を進めている。2022年に焼肉店をオープンしたほか、米・オレゴン州に「TANAKA」を出店した。TANAKAはカツサンドをテーマとしたカフェで、外観はスターバックスのようなカフェチェーンを思わせる。2024年には京都で天ぷら専門店も開業している。だが、自社で開発した新業態はいずれも、現時点で多店舗展開には至っていない。

「TANAKA」を出店

 2025年には新たなスローガンとして「脱・串カツ田中」を掲げ、約60店舗を展開するイタリア料理店「PISOLA」の運営会社を95億円で子会社化した。

 ピソラは主に関西のロードサイドに出店している。客単価は3000〜4000円とみられ、ファミレス業態としては高価格帯だ。串カツ田中とエリア・価格帯が異なる業態を取得することで、事業の多角化を図る。

 串カツ田中とピソラで、それぞれ約4000人(アルバイトなどを含む)の従業員を抱えており、人手不足への対応も目的だろう。なお、本件の原資として貫氏が約10億円を実質的に負担しており、その本気度がうかがえる。

イタリア料理店「PISOLA」を子会社化

 一般的に外食企業が複数のチェーンを開発するのは難しい。サイゼリヤは過去にサンドイッチ業態やイタリアンのファストフード業態を手掛けたものの、いずれも多店舗展開に至らなかった。

 一方、コロワイドのような外食大手はM&Aで規模を拡大している。すかいらーくHDも「資さんうどん」や定食屋の「しんぱち食堂」を相次いで買収し、事業領域を広げている。

 ゼロからの新業態は認知度向上に時間がかかる。その点、一定の店舗数を持つ既存店を取り込む方が成功の可能性は高い。さらに、関連報道による宣伝効果も期待できる。

 串カツ田中改めユニシアホールディングスは国内外で1000店舗を目標としている。同社は2月末時点で432店舗を展開。目標達成は今後のM&A次第といえそうだ。

著者プロフィール

山口伸

経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_


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