アパレル大手・パルグループホールディングス(HD)の業績が好調だ。4月7日発表した2026年2月期の連結決算によると、売上高は2347億円となり、5期連続で過去最高を更新した。純利益は前期比50%増の177億円となった。
同社はBEARDSLEYやDISCOATなどのアパレルブランドの他、1994年から食器や日用品、アクセサリー、ガジェットなどをそろえる雑貨店「3COINS」を展開している。
3COINSの売上高は809億円とパルグループHD全体の約3分の1を占めるまでに成長した。雑貨店はダイソーなど均一ブランドの他、無印良品やニトリ、フランフランなどライバルが多い中、3COINSはどのように成長してきたのか。小売・流通アナリストの中井彰人氏は「アパレルで培った“売り方”を雑貨に持ち込んだことが、好調の要因だ」と指摘する。
決算説明資料を見ると、2026年2月期における売上高はアパレル部門が1448億円、3COINSやsalut!などを含む雑貨部門は895億円となった。営業利益率はアパレル部門が13.9%、雑貨部門は9.2%で、収益面での貢献はまだアパレルが主役という状態だ。
雑貨部門の2024年2月期の営業利益率は2.7%だったので、改善しているといえる。中井氏は「3COINSに代表されるパルグループHDの雑貨部門が、ダイソーや無印良品などと決定的に異なるのは、アパレル事業で培った『接客のプロをデジタル化する仕組み』を持ち込んだ点にある」と指摘する。
アパレルではこれまで「接客販売」が重視されてきた。店舗に入ると販売員が近づいてきて、会話をしながら買わせるスタイルだ。
現在、アパレルの販売員にとって店舗での接客販売と同じく重要視されているのが、SNSを通じて自ら客を店舗へ「呼び込む」活動だ。同社はアパレル販売の知見を駆使し、自社の販売員をインフルエンサーとして育成。かつての「カリスマ店員」の役割をデジタル上で再現した。
「パルグループHDは自社の販売員にSNS活用テクニックを教育し、社内インフルエンサーを組織的に育成。成果に応じたインセンティブを支払う仕組みを整えている。自社の販売員が発信源となるため、外部広告に頼らずに集客でき、広告コストの削減にもつながる。販売員にとってもSNSで人気が出ることは“社内のスター”になることであり、モチベーションアップにもなる」(中井氏)
アパレル部門で培ったSNSでの発信力を、同社は雑貨部門でも活用した。雑貨のような小売りではマス広告による集客が一般的だったのに対し、同社が採用したのは、SNSで話題を作る(バズらせる)こと。まずはトレンドに敏感な若い世代を獲得し、若い世代の盛り上がりが、結果としてさらに上の世代へと波及していく循環を生み出す──という手法だ。マス広告の影響力が低下する中、SNSを顧客接点の入り口として押さえたことが、アパレルと雑貨を持つ同社の大きな勝因となっているのだ。
同社は2027年2月期の売上高を2530億円(前期比8%増)と見込む。業績達成に向けた懸念点として、中井氏は雑貨部門の店舗数と客数のバランスを挙げる。
雑貨部門の既存店客数は前年比94%程度で、客が分散してきていることがうかがえる。「実際、都内は店舗が飽和しつつある。今後は既存の小型店を整理しながら、地方の有力な商業施設に大型店を出していくフェーズに移行していくだろう」(中井氏)
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