ただ、その副作用も大きい。20年以上、組織マネジメントを支援してきた専門家として、マネジメントの本質を確認しておきたい。
マネジメントとは、目標を達成するためにリソースを効果的かつ効率的に配分することだ。人材はそのリソースの一つに過ぎない。きれいごとを抜きにいえば、従業員は組織が目標を達成するために必要な「リソース」といえる。プロ野球に例えると、優勝するために必要な選手、ということになる。
組織と集団の決定的な違いは「目標の有無」だ。ただ人が集まっているだけなら集団にすぎない。目標があって初めて組織になる。そして組織マネジメントとは、その目標達成のために人・モノ・カネ・情報といったリソースを最適配分することだ。
この本質を踏まえると、「ピープルマネジメント」という概念の危うさが見えてくる。「人を管理する」こと自体が目的になってしまうリスクだ。
時間管理(タイムマネジメント)は意味をなさない、とよく言われる。なぜなら、そもそも「時間」は管理できないからだ。「時間」に焦点を合わせた瞬間、どの時間に何を配分しようかと考えるようになり、余裕がなくなっていく。そしてどれほど時間があっても足りない、と思えるようになるのだ。
では何を管理すべきか。答えは「タスク」だ。タスクは管理対象になる。時間と違って、タスクは増やすことも減らすことも、優先順位をつけることも、誰かに委ねることもできる。
タスクに焦点を合わせることによって、余裕が生まれる。なぜなら必要なタスクを処理することが目的になるため、結果的に時間が余るようになるからだ。時間管理ではなくタスク管理こそが、成果につながるのだ。
ピープルマネジメントも同じ構造だ。「人の管理」そのものを目的にすると、余裕がなくなる。悩みは永遠に尽きない。次から次へと課題が現れ、どれだけ1on1を重ねても解決した気がしない。
それも当然だ。人間は複雑であり、感情があり、状況が変化し続けるからだ。「人の管理」を目的にした瞬間、「やるべきタスク」が見えなくなる。ゴールが消えてしまうのだ。目的は人を管理することではない。目標を達成することだ。
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