続いて、業績を見ていきましょう。
結論から言えば、伊藤園は売り上げこそ堅調に伸びているものの、利益は伸び悩んでいるのが実態です。
2021年4月期の売上高は約4462億円でしたが、2025年4月期には4727億円まで増加しました。主力の「お〜いお茶」を中心に飲料販売は安定しており、販売数量も増加傾向が続いています。
また、タリーズコーヒーなどの飲食事業も、コロナ禍からの回復によって来店客数が戻り、売り上げを押し上げました。人流回復やインバウンド需要の復活も、コンビニや自動販売機での販売増加につながっています。
なお、2022年4月期に売上高が一時的に減少しているのは、同年度から「収益認識に関する会計基準」が適用された影響が大きいとみられます。従来は販売費及び一般管理費として計上していた販売手数料の一部を、売上高から差し引く処理に変更したことで、見かけ上は減収となりました。
同じ基準で比較すると、2022年4月期の売上高は約4613億円となり、実質的には前期比3.4%の増収だった計算です(参照:伊藤園「2022年4月期 決算説明会資料」PDF)。
一方、利益面を見ると、営業利益や親会社株主に帰属する当期純利益は2021年から2024年にかけて回復傾向にあったものの、2025年4月期は減益となりました。売り上げは伸びている一方で、その成長が利益拡大には十分つながっていません。
背景にあるのが、コスト増です。茶葉(リーフ)などの原材料価格が上昇しているほか、エネルギー費や物流費も高止まりが続いています。製造から販売まで、幅広いコストが上昇している状況です。
さらに、飲料市場の競争激化に伴い、広告宣伝費や販促費も増加しています。価格改定によってコスト増を吸収する動きはあるものの、販促費の増加などによって、値上げ効果が利益に反映されにくくなっています。
その結果、伊藤園は「売り上げは伸びているが、利益は思うように増えない」という状況が続いています。トップラインの安定成長という強みを維持する一方で、収益性には課題を抱えているといえるでしょう。
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