日韓双方の現場を経験したリュさんは、両国の仕事に対するアプローチの違いを感じるという。韓国の仕事文化を象徴する言葉に「パリパリ」(早く早く)がある。
「韓国はとにかくスピードと結果を重んじます。もちろんクオリティーも求められますが、目標が決まれば全体的な大枠、レイアウトを早めに完成させることが重視されます」
これに対して、日本の職場では、意思決定に至るまでの「プロセス」が非常に丁寧に扱われると感じている。
「日本でプロジェクトを進める際には、まず大枠を決めるというよりは、情報をちゃんと集めて全員で共有し、検討する時間を必ず設けます。一歩ずつ、全員の足並みをそろえて進めていく印象があります」
また、ITエンジニアに対する評価やキャリアの捉え方にも前職との違いを実感しているという。前職では、ITエンジニアはある程度の年齢になれば管理職(マネジャー)に昇進するのが一般的なキャリアパスだったが、今の職場では、生涯現役のエンジニアとして技術を磨き続ける道も尊重されていると感じる。
「評価の基準も公開されており、なぜその評価に至ったのかというプロセスが明確な点も、納得感がありました。前職では評価の内容や結果が伏せられていました」
一方で、生活面に目を向ければ、日本のデジタル化の遅れに戸惑うこともしばしばある。
「来日した当初、銀行口座の開設と携帯電話の契約には本当に苦労しました。口座を作るには携帯電話が必要だと言われ、携帯を契約するには銀行口座が必要と言われて……」
「通帳一冊を作るにも窓口で手続きをしてから受け取りまでに数週間待つ必要がある。韓国ではその場で完結することが多いため、当時は戸惑いの連続でした」
年に数回韓国へ帰省すると、社会インフラが塗り替えられるような大きな変化の速さに圧倒されることもあるという。
「今の韓国では、バスや地下鉄でもキャッシュレス化が徹底されており、現金を使わないことが当たり前になっています。コロナ禍が明けて久々に帰国した際、バスで現金が使えないと告げられ、慌ててバスを降りたこともありました」
新しいものを取り入れ変化するスピードは、韓国の方が速いと実感する。日本がこれからも海外出身者にとって働きやすい社会であり続けるためには、変化に対して保守的な側面は改善の余地があると感じている。
一方で、日本もコロナ禍以降、変化のスピードが速まったとも感じるという。
「ITエンジニアとして見ると、日本は今、変化の真ん中にいて、それが加速している国だと感じています。 ITエンジニアとしてやるべき仕事が多く、そこに魅力があります。企業の規模に関係なく、自分の仕事によって何か変化していく実感が持てます」
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