開業初年度は1億円赤字 奄美のホテルが“癒し路線”で再生したワケ(5/5 ページ)

» 2026年05月17日 08時00分 公開
[小林香織ITmedia]
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「ウェルネス専門」の旅行事業も開始

 ザ・シーンのホテル事業が軌道に乗ったこともあり、ノビテルでは新たに「旅行事業」にも参入。リトリートやネイチャースポーツに特化した旅行・ホテル予約サイト「Wellness TRIP(ウェルトリ)」を2022年9月に開始した。

健康専門ツアーの販売も開始した(ウェルトリの公式サイトより)

 販売するツアーは、人気インストラクターが同行して、ヨガなどのアクティビティーを現地で体験できる内容となっている。そのため、料金は2泊3日で15万〜20万円程度と高額だが、反響は上々だという。

 「“どこに行くか”よりも、“誰と行くか”が参加動機になっていて、憧れのインストラクターが同行するため非常に満足度が高いんです。参加者の多くは女性の一人参加ですが、目的が一致しているため参加者同士のコミュニケーションも活発です。女性が女性を応援する(または支持する)“推し活”需要にマッチしているのだと思います」

 ノビテルでは、今後も「ホテル」と「旅行」を軸に観光事業の成長を目指す方針だ。奄美大島の観光開発について尋ねると、「非常に伸びしろがある」と小林氏は考えを示した。

最も新しく登録された世界自然遺産として、奄美大島は注目されている(筆者撮影)

 「奄美大島は、2021年に世界自然遺産に登録されたばかりのホットなエリアです。国内では今後、新たな世界自然遺産の登録は難しいとされる中で、既存の世界自然遺産と比べて、最も観光開発の伸びしろがあるのではないかなと。貴重な自然環境を守ることが最重要ですが、長い目で開発が進んでいくのではないかと思っています」

 自社の事業展開については「ウェルネスホテルブランド」として、ザ・シーンを他地域に展開していく考えもある。すでに、静岡県浜松市でウェルネス兼ドッグホテルの「THE SCENE hamanako」が2020年12月に開業している(同ホテルの運営は別企業)。

 「今後は、後継者がいない宿、集客に苦戦している地方の宿などの『再生事業』に注力していきます。旅行業に参入して健康特化のツアーを販売しているのも、そのためです。『ホテル』と『旅行』のシナジーを今以上につくっていきます」

ホテルニューアワジグループが90億円を投資して開発するラグジュアリーリゾート(出典:ホテルニューアワジのプレスリリース)

 ウェルネスツーリズムといえば、山形県上山市や北海道函館西部地区、兵庫県淡路島なども独自の取り組みを進めている。

 特に淡路島は注目度が高く、パソナグループでは長期滞在型の未病リトリート施設「THE PASONA natureverse retreat(ザ・パソナ・ネイチャーバース・リトリート)」を2026年6月23日に開業予定。ホテルニューアワジグループ(兵庫県洲本市)でも、過去最大規模となる約90億円を投資して、2つのラグジュアリーリゾートホテルの開発を進めている。砂浜でのウォーキングなどウェルネスステイにも適した環境で、2027年1月に開業予定だ。

著者プロフィール:小林香織

 1981年生まれ。フリーランスライター・PRとして、「ビジネストレンド」「国内外のイノベーション」「海外文化」を追う。一般社団法人 日本デジタルライターズ協会会員。エンタメ業界で約10年の勤務後、自由なライフスタイルに憧れ、2016年にOLからフリーライターへ転身。その後、東南アジアへの短期移住や2020年から約2年間の北欧移住(デンマーク・フィンランド)を経験。現地でもイノベーション、文化、教育を取材・執筆する。2022年3月からは東京拠点。

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