開業初年度は1億円赤字 奄美のホテルが“癒し路線”で再生したワケ(2/5 ページ)

» 2026年05月17日 08時00分 公開
[小林香織ITmedia]

開業1年目で1億円の大赤字

 ザ・シーンは「本物のプライベート」をコンセプトに、2015年に誕生した。奄美空港からクルマで約2時間、島の最南端にあり、目の前にはプライベートビーチが広がる。キレイな星空が見られるほか、神秘的な雰囲気が漂う離島・加計呂麻島へのアクセスもいい。

 羽田空港から直行便で約2.5時間と、沖縄や海外のアジアリゾートよりも都心から近く、秘境を求める人に適した場であるとして、40〜60代の経営者層やシニア夫婦をターゲットに、高級リゾートとして開業した。

ホテルの目の前に広がる「プライベートビーチ」(nobitel提供、以下同)

 「当ホテルは全21室と小規模で、周辺は人が少なく穏やかです。奄美大島自体も大規模な観光開発がされていません。そうした穴場的な場所を探している人をペルソナにしたのですが、うまくいきませんでした」

 実際、ターゲット層の集客には成功したものの、評判にはつながらなかった。もともと1989年に建てられた古いホテルであり、改装はしたものの、部屋は30〜46平米と狭い。同社の主軸事業は健康・スポーツ分野で、観光は未経験。ホテル運営のノウハウ不足もあり、接客レベルが十分ではなく、食事も気に入ってもらえなかった。他社の高級リゾートと比べて見劣りすると評価され、口コミ評価も低かった。

全室オーシャンビューだが広くはない。写真は「スタンダード」の部屋

 「結局、1年目で想定以上となる1億円の赤字を出してしまいました。これではマズいと試行錯誤していた最中のこと、ヨガのアクティビティーに参加したお客さまが、涙を流していたんです。『スタッフが何かやらかしてしまったのか?』と思い、お声がけしたところ、『命の洗濯ができました』と返ってきました。加計呂麻島を眺めながらヨガをしていたら、自然と涙がこぼれたそうです」

 この出来事を機に、小林氏は方針転換を決めた。開業2年目に打ち出した新コンセプトは、ネイチャー(自然)とクレンズ(浄化)を掛け合わせた「ネイチャークレンズ」だった。

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