物価上昇に歯止めが掛からず、財布のひもへの圧力が強まっている。東京商工リサーチが実施した調査によると、1〜4月の居酒屋の倒産件数は88件で、前年同期から54.3%増加していた。同期間の倒産件数では、2024年の59件を大きく上回り、過去最多を更新した。
居酒屋は大手チェーン店と地元店が共存し、会社員や学生、ファミリー客を取り込んできた。客層が幅広い居酒屋の景気は、世間の動向を映す鏡でもある。
居酒屋の倒産はITバブル崩壊の2003年に初めて20件台に達し、道路交通法改定直前だった2007年には39件に増加。東日本大震災直後の2012年には利用控えが浸透して50件と大幅に増加したが、コロナ禍では休業協力金や各種の資金繰り支援効果が広がり、倒産が抑制された。
しかしコロナ禍が落ち着くと同時に、食材や光熱費、人件費が上昇。焼肉店など専門料理店との競合、デリバリーの普及が重なり、居酒屋の倒産は増加に転じた。
値上げが相次ぐ中で、居酒屋の魅力だった格安の飲み放題コースが減少。コロナ禍を機に、忘年会や新年会、歓送迎会、取引先との接待も減少した。働き方改革や在宅勤務、残業減なども、居酒屋から足を遠ざけている可能性がある。
東京商工リサーチは「会社員だけでなく、好調なインバウンド需要を取り込めない居酒屋は厳しい状況が続く。物価高で価格競争に巻き込まれ、客足が遠のき、悪循環から抜け出せない居酒屋の淘汰は、しばらく続きそうだ」とコメントした。
調査は、東京商工リサーチの企業データベースから1〜4月の居酒屋の倒産で、負債1000万円以上を抽出し、分析した。
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