一つは初任給以外の福利厚生です。例えば、先ほどの表で2026卒の初任給が「60万円」で1位タイだった地主という企業は、中身を見ると「基本給37万3250円」+「固定残業代12万6750円」で50万円と、基本給が60万円というわけではありません。
同社はこれらに加えて、別途住宅手当を月に10万円支給しており(期間限定)、給与50万円+住宅手当10万円=60万円が入社して最初に支給される給料になるわけです。これがトータルの初任給60万円のカラクリです。地主のように家賃補助を期間限定であれ10万円も出すような会社はレアですが、住宅手当を増額すると発表した企業も増えてきています。
他にも、東京や大阪のような大都市勤務で、さまざまなコスト負担が考えられる社員に地域手当を出す会社もあります。また、新入社員は食費の負担が大きいからと食事手当を厚くするケースも。オフィスに社員食堂を新設したり、あるいは近所のレストランで安く食べられるクーポン券を渡す企業も増えています。こうした手当は、年によって変化させやすいため、企業にとっては業績に合わせて増減させやすいのが特徴です。福利厚生で対応しようとする企業は今後増えてくるでしょう。
新入社員の採用数を減少させる企業も増えていくでしょう。
リクルートワークス研究所の調査によると、2026年度の新卒採用数は2025年度から鈍化しています。2027卒の大学生・大学院生を対象とした求人倍率は「1.62倍」で、1.66倍だった2026卒よりさらに減少する見込みです。
AIが急速に発達しており、今後は「新卒採用を控えてもAIを上手に活用すれば既存の業務はまわるのではないか」と考える企業が増えると考えられます。一方で2027卒の理工系大卒新卒採用計画数は2026年実績比で12.7%増です。製造業やサービス業でAIを内製化するための人材として、理系新卒学生は人気のようです。
日本を代表する大企業においても新卒採用抑制の動きが見られます。1人当たり採用費は100万円以上、新卒採用に力を入れている会社では1人当たり300万円近くかかります。実際に筆者の関わる企業での年間採用コストを計算すると、1人当たり315万円のコストがかかっていました。
採用に当たりこれだけの費用をかけても、大卒新卒のうち1割近くが3年以内に辞めている現実もあります。
これでは「もう大卒新人はいらない」と考えたくなる企業が出てくるのも分かります。結果的に、前述のようにAI内製化のための理系人材に採用を絞ったり、中途人材の採用に力を入れたりする企業が増えるのも必然と言えます。こうした傾向が今後各社で目立ってくるのではないでしょうか。
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