米オープンAIが対話型AI「ChatGPT」を一般公開した2022年11月以降、海外企業ではリストラが始まりました。好調な企業ほど人員を削減し、その分をAI投資にまわしています。メタは2026年12月期の設備投資を最大で1450億ドル、マイクロソフトも1900億ドル、アマゾンにいたっては2000億ドルと極めて高額の投資を発表しています。いずれも人員を削減し、AIデータセンターへの大型投資に踏み切っているわけです。
日本企業の新卒採用とは異なる次元の話ですが、企業の雇用環境そのものがこれから激変してくることは間違いありません。今は米国テック企業中心の話ですが、今後はこれがテック以外の全ての企業に拡大します。中小企業でも、採用戦略などをゼロベースで考えざるを得ない人材大激変時代が始まるでしょう。
日本もいよいよ大卒一括採用も含め、人材教育や福利厚生、評価など全てを見直す分岐点にきています。人を採用して育てて、戦力化していくということは今後もなくなりはしません。しかし、「AIを活用して人が少なくてもまわる仕組みをどう作るか」も焦点となります。
したがって採用される新卒学生も「初任給が上がってラッキー」的な感覚の人は、入社するチャンスさえなくなるかもしれません。今後は企業にとって新卒は必要なくなるかもしれないという危機感を持って、学生生活を過ごすべきです。
企業もこれを機に、自社には新卒が本当に必要なのかをしっかりと見極めることです。今後も新卒の存在は自社にとって必要だと言い切れる会社もありますし、必要ない、中途のみでいいという会社もあるでしょう。新卒が自社でどんな位置を占めて、どんな価値を発揮してくれるかを考えることが必要です。
筆者の前職のコンサルティング会社で、創業メンバーの一人が「この会社は新卒を入れて常に平均年齢を下げ続けることが活力となる。今後もそれを続けることがこの会社の成長を決める。だから新卒を採用し続けてほしい」と話していたことをはっきり覚えています。同社は年間に200人近い社員を新卒で採用し、若手が活躍し、企業としても成長を続けています。
会社として新卒社員にどのような価値を見出しているか。その人材をどう成長させていくか。「新卒は何よりも大切だ」と断言できる企業は、今後も新卒採用を続けるべきですが、それがない企業は新卒採用をやめた方が良いでしょう。
初任給の上昇は、企業にとってさまざまな見直しが必要になることを意味します。日本の雇用環境が変わる今、企業と学生はそれぞれ何をすべきか。何を変えていくべきか。それぞれの立場で見極めるときが来ています。
岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)
ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント
1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。「面白い会社をつくる」をコンセプトに各業界でNo.1の成長率を誇る新業態店や専門店を数多く輩出させている。街歩きと店舗視察による消費トレンド分析と予測に定評があり、最近ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌でのコメンテーターとしての出演も数多い。直近では著書『図解入門業界研究 最新 アパレル業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本[第5版]』を刊行した。
初任給「引き上げ一服」か 全学歴引き上げ企業は75.6%に低下
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