国民年金の第3号被保険者の数は、確かに増えてきています。ただ、2024年度は男性13万人に対して女性は628万人。比率にすると、男性2.0%に対して女性が98.0%と大半を占めます。
共働きが良いか専業主婦・主夫が良いかは、ご家庭の状況によってまちまちです。専業主夫がもっと増えた方が良いと一概に言えるものではありませんし、専業主婦が良くないわけでもありません。しかし、数字上は大きな差が厳然として存在しています。
男女間の賃金格差については、5年で2.3ポイント縮みました。女性の賃金は男性の水準へと確実に近づいてきています。ただ、女性と男性との間には依然として23.4ポイントの差があります。今後も5年で2.3ポイントのペースで差が縮んでいった場合、男女の賃金格差が解消されるのは約50年後という計算になります。
女性管理職の比率についても同様です。課長級の女性比率が15.9%ということは、男性が84.1%を占めていることになります。格差が解消された状態の一例として、男女比が50%ずつになった場合を仮定すると、女性比率が34.1ポイント上がらなければなりません。いま5年で4.5ポイント上昇するペースですから、このままだと男女比が均衡するのは約38年後です。2026年に社会人になった新卒社員が定年を迎える頃です。
部長級であればもっと長い年月を要します。女性比率は9.8%。9割強が男性です。2019年には6.9%だったので5年で上昇しているのは2.9ポイント。課長級の場合と同様に計算すると、女性比率が50%に達するのは69年後です。さらに、役員の女性比率については社外取締役を招き入れるケースも少なくないので一概には言えませんが、社内登用比率が男女で均衡するまでには、部長級以上の年月を要すると考えられます。
以上のように内実を一つ一つ確認していくと、男女間には確かに格差縮小の動きが見られるものの、そのペースがあまりにも遅すぎる状況が浮かび上がってきます。ところが「着実に進んでいる印象」によりカムフラージュされ、良いペースで格差解消に向かっているかのように錯覚してしまいます。
もちろん、格差が全く縮まらない状況と比べれば、良い方向に進んでいると言えるかもしれません。ただ、ペースが遅すぎることを認識しておかないと、このままでは格差解消までに何十年も要します。
男性の育児休業取得率なども近年急激に伸びていますが、育児休業期間の長さをみると男女間には圧倒的な差があります。厚生労働省の「令和5年度雇用均等基本調査」によると、10カ月以上、育休を取得した女性は76.5%に及ぶのに対し、男性は2.7%にとどまります。
一方、2週間未満だと女性0.6%に対し男性は37.7%です。数日など、有給休暇でも対処できそうな短期間取得も育休取得者として計上されるため、企業が男性育休取得率100%を達成するのは難しいことではありません。しかし、見た目の数字が100%になることだけをもって、男女が同等に育休取得しているような印象になるとしたら問題です。
このような「数字の改善」と「実質的な変化」のギャップは、男女格差に関わるさまざまな指標に共通して見られます。期待する方向に数値が少しでも近づくと「着実に進んでいる印象」が生まれ、今後も現状維持することで、問題が十分に改善しているかのように映ってしまうのです。結果、スローペースの固定化につながりかねません。
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