かねて職場では、男女間の格差が問題視されてきました。例えば賃金や管理職の比率、育児休業の取得率などがそうです。ただ、統計データを確認すると、いずれの指標も男女間の格差は縮まってきています。
政府は男女雇用機会均等法の施行をはじめ、女性活躍推進法や育児介護休業法の改正、男女の格差にまつわるパンフレット作成といった啓発活動に取り組んできました。
職場でも女性管理職比率や男性の育休取得率を目標に掲げるなど、さまざまな施策の導入を進め、働き手も格差を助長するような言動やハラスメントなどに注意を払うようになってきました。
数字の改善状況を見ると、男女格差の縮小は着実に進んでいると感じます。ただ、格差は解消したわけではありません。現状を冷静に確認すると、もどかしさや課題が浮かんできます。男女格差の縮小を巡って、職場や社会で見落とされがちな根本的な問題について考えてみましょう。
ワークスタイル研究家/しゅふJOB総研 研究顧問/4児の父・兼業主夫
愛知大学文学部卒業。雇用労働分野に20年以上携わり、人材サービス企業、業界専門誌『月刊人材ビジネス』他で事業責任者・経営企画・人事・広報部門等の役員・管理職を歴任。
所長として立ち上げた調査機関『しゅふJOB総研』では、仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層を中心にのべ5万人以上の声をレポート。
NHK「あさイチ」「クローズアップ現代」他メディア出演多数。
日本経済新聞は6月8日の記事で、専業主夫がこの30年で3倍近くに増えていると報じました。基になっているのは、国民年金の第3号被保険者(会社員や公務員に扶養されている配偶者)の男性の数です。
確かに、厚生労働省が公表している「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、1998年度には4万人でしたが2024年度には13万人と大きく増えています。
かつて「男性は働いて女性は家庭を守る」という性別役割分業が一般的だった状況から、時代は徐々に変わってきている印象を受けます。専業主婦世帯は減少し、いまや全体の7割程度を共働き世帯が占めるようになりました。性別で役割を固定するのではなく、男女がお互いの選択を尊重し合う社会へと移行してきている表れとも受け取れそうです。
男女間の賃金格差も、徐々に縮まってきています。厚生労働省が公表している「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」によると、2025年における一般労働者の賃金格差は男性を100とした場合に女性は76.6。2020年には74.3だったので、5年で2.3ポイント縮んでいます。世の中の変化を感じる統計結果です。
男女の賃金格差に少なからず影響を与えると考えられる管理職比率も、数字が改善しています。内閣府の「男女共同参画白書」によると、民間企業の課長級に占める女性比率は2024年に15.9%。2019年には11.4%だったので5年で4.5ポイント上昇しました。
扶養される男性の数が増加し、男女間賃金格差が縮小し、女性管理職の比率も上昇してきている様子を見れば、男女の間にあった格差解消は着実に進んでいるように見えます。しかし、その「着実に進んでいる印象」こそ、実は落とし穴です。
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