北海道のローカル線が苦境に陥った背景には地域産業の大きな変化がある。
北海道庁の「北海道データブック2025」によると、道内の産業は全国と比べて農林水産業などの第1次産業や、サービス業などの第3次産業の割合が高い一方、製造業や建設業などの第2次産業の割合は低い。特に、かつて北海道経済を支えた石炭産業は、1950〜60年代をピークに急速に衰退した。
その影響を最も受けたのが鉄道だった。1970年前後、国のエネルギー政策が石炭から石油へ転換すると、炭鉱が次々と閉山。石炭輸送を担っていた北海道内の私鉄は、荷主を失い、沿線人口も減少したため、多くが早い段階で廃止された。
一方、国鉄の路線はすぐには廃止されなかった。国が運営する公共交通機関だったため、不採算になっても簡単には撤退できなかったからだ。その結果、鉄道が残ったことで、炭鉱の閉山で人口が減少した地域の衰退を、ある程度緩やかにしたという見方もできる。
実際、1968年には国鉄の赤字路線を整理する「赤字83線」が提言されたものの、本格的な廃止には至らなかった。その後、「特定地方交通線」の制度が整備され、ようやく不採算路線の整理が進んだが、国鉄は公共交通としての役割を担っていたため、経営環境の変化に迅速に対応することは難しかった。
現在のJR北海道は民営化された会社だが、独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」が株式を100%保有しており、国との関わりは今も深い。人口減少が続く中で、鉄道を残すのか、それともバスなど別の交通手段へ転換するのか。地域の実情に応じた公的な関与のあり方が、あらためて問われている。
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