ここで、日本特有のリスクを指摘しておこう。
前出した通り、超少子高齢化の影響もあって、雇用自体は守られるだろう。しかし若手が下流工程で「自ら手を動かし、失敗から学ぶ」機会はどうしたらいいのか。その機会は、AIの登場によって確実に減ってきている。
AIが作った成果物をただ承認するだけの若手が「経験豊か」になることはない。
経験→内省→概念化→実践
といった「経験学習プロセス」を自ら回すことがないなら、永遠に「経験不足」のままである。そんな人が、5年後、10年後に管理職になったとき、いざというときの例外対応や高度な判断はできないだろう。まさに「現場力の空洞化」が起きると言える。
これは目に見えない「経験格差」として、企業の中長期的な競争力をむしばんでいくリスクになる。
新卒一括採用を見直すこと自体は、時代の変化として理解できる。しかし、若手の育成方法そのものは再設計しなければならない。そうしないと、中長期的に見て、組織力は大幅に落ちていくだろう。
では、企業はどのような採用方法へ移行すべきか。大きく3つの転換が求められる。
一つ一つ解説していこう。
学歴や年齢といった属性中心の「ポテンシャル採用」から、具体的なスキルを重視する採用へと転換する必要があるだろう。
何ができるか。テクノロジーをどう活用できるか。新しい知識をどれだけ素早く学習できるか。こうした観点を重視する採用方法が、今後の主流になるはずだ。
採用計画は大幅に修正されるだろう。「新卒を何人採用するか」といった従来の人数目標は見直すべきだ。「どの業務をAIに任せ、どの業務を人間が担うのか」という緻密な業務設計を、先に行う必要がある(まさに、これこそが上流工程の仕事である)。
先に人数を決めてから業務を割り振る、という順番ではうまくいかない。
現在は「即戦力志向」が高まっている。だからこそ新卒一括というスタイルは重要視されなくなっていくだろう。
キャリア採用とともに通年採用も拡大するはずだ。面接だけでは測れないAIへの適応力を、早い段階で見極めるプロセスが不可欠になっていくと考えられる。
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