アルファードでもノアでもない 三菱「デリカD:5」はなぜ19年目に過去最高を更新したのか高根英幸 「クルマのミライ」(6/6 ページ)

» 2026年07月03日 08時00分 公開
[高根英幸ITmedia]
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孤高の本格4WDミニバンの未来とは

 このようにリニューアルの印象を強く感じられることも、販売台数の増加につながったと思われる。というのも、現行モデルが登場して10年以上が経過しているのだから、D:5から新車のD:5へと乗り換えるケースが相当数あってもおかしくない。本格4WDミニバンは他にないため、気に入っていれば他のモデルを選択することはあまりないだろう。

 また、デリカD:5はクルマの残価率が高く、残価設定クレジットの利用も多い。利用しなくても、3年乗って8割以上の価格で下取りしてもらえるなら、頭金を追加するだけで、また新車のデリカD:5を買える。D:5オーナーが新型に買い替えるケースは当然多いはずだ。

 前述したインテリアや先進装備の充実によって、新しさを感じさせてオーナーの満足感を高めるのだ。このあたりは三菱が得意としてきた部分でもある。

 トヨタほどの中古車販売力は持ち合わせていないが、本格4WDミニバンという独自性を強みに残価率を維持し、生き残る術を築き上げたのである。

当初はガソリンエンジンやFFモデルもあったが、フェイスリフトとともにディーゼル4WDに一本化されたデリカD:5。今後は電動化によって燃費性能も上がり、大胆なスタイルへと進化していくのだろうか(写真:三菱自動車)

 これでD:5の進化は完熟状態ではないだろうか。となれば、今後のデリカシリーズがどうなっていくのか、気になるところだ。

 アウトランダーやエクリプスクロスなどのラインアップを考えれば、PHEV(プラグインハイブリッド車)への進化は避けられないと思うのだが、果たして新たなプラットフォームでPHEV化へと進むのだろうか。

 そしてもう一つ気になるのは、先日三菱が明らかにしたパジェロ復活との兼ね合いだ。常識的に考えれば、パジェロとデリカのすみ分けを図るのだろうが、そんな単純な話ではなさそうだ。

 むしろパジェロ復活により、デリカも6代目でなお本格4WDというオフロード重視のイメージを強調していくのだろうか。

 独自の領域を育てた三菱デリカには、当面ライバルはいない。ハイエースがキャブオーバーのバンとして独自の世界観を築き上げたように、デリカもまた孤高の本格4WDミニバンとして続いていきそうだ。

筆者プロフィール:高根英幸

 芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は自動車情報サイトEFFECT(https://effectcars.com)、クラシックミニ専門サイト(https://classicmini.jp)を主宰するほか、ベストカーWeb、Yahoo!ニュース、ITmedia ビジネスオンラインなどに寄稿中。著書に「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。近著は「きちんと知りたい! 電気自動車用パワーユニットの必須知識」(日刊工業新聞社刊)、「ロードバイクの素材と構造の進化」(グランプリ出版刊)。


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