病院内のコンビニ、なぜ「ローソン」が最も多いのか 約350店を支える“病院専門チーム”の正体(2/4 ページ)

» 2026年07月15日 05時30分 公開
[米倉志保ITmedia]

通常のローソンとの違いは?

 一般的なローソンのロードサイド店の面積は約200平方メートルだ。一方、ホスピタルローソンは建物内の限られたスペースに出店するため、約100平方メートルと通常店の半分ほどの広さにとどまるケースもある。

 そうした制約がある中でも、店舗づくりで重視しているのがバリアフリーへの対応だ。車椅子や点滴スタンドなどを利用する人でも安心して買い物ができるよう、通常店より通路を広く設計している。車椅子が通行できる幅を確保するだけでなく、介助者と並んで移動できる広さを目指しているという。

 ローソンの開発本部ホスピタル・ヘルスケア開発部 部長の村津克哉氏は「お店自体は狭いので、通路幅を広く確保すると、その分商品を置けるスペースが減ってしまう。通路の広さと品ぞろえのせめぎ合いだ」と話した。

倉敷中央病院にあるホスピタルローソン

 品ぞろえも通常店とは異なる。本社には医療衛生用品を専門に担当するスタッフが常駐し、病院ごとの要望に対応する。歯ブラシや下着などの生活用品のほか、医療用下着、介護用品やリハビリ用品など約3000品目の医療衛生用品を取り扱える。急な入院でも必要なものを院内でそろえられるようにしているという。

 一方、食品や飲料は通常店とほぼ同じ品ぞろえだ。新商品の発売やキャンペーンも通常店と同様に実施する。村津氏は「病院にある店舗だということはあまり意識せず、できる限り通常のお店に近づけたいと思っている。『日常の生活』を提供したい」」と話した。

 店舗の設備やサービスは病院ごとに異なる。店内調理ができる厨房やイートインスペースを備えた店舗もあれば、医学学生向けの専門書を販売する医学部付属病院での店舗もある。大学病院では学会などで訪れる医療関係者向けに土産品を置くケースもあるという。

 営業時間も病院の要望に応じて柔軟に設定している。24時間営業の店舗もあれば、午前7時〜午後9時など時短営業の店舗もある。営業時間外でも利用できるよう、院内にローソンの自動販売機を設置しているケースもある。

 また、店舗まで来られない入院患者や忙しい病院職員のため、ローソンの店員が飲料やお菓子などを載せたワゴンを押して病棟を定期的に巡回する店舗もある。ただ、コロナ禍以降は病棟への立ち入りを制限する病院も増えたため、病院側のニーズと店舗のオペレーションをすり合わせながら、実施できる店舗で導入しているという。今後は、配送ロボットの活用なども検討している。

 入院中の子どもたちを対象に学校教育を行う「院内学級」で、ローソンやコンビニ業界に関する特別授業を開催したこともある。コンビニの仕事や店舗で働く人の役割、「からあげクン」ができるまでの工程などを紹介した。

 開発本部ホスピタル・ヘルスケア開発部 マネジャーの樫野祐子氏は「長期で入院されているお子さまが多いので、唯一の社会との接点としてコンビニに行くことが楽しみになっている方もいる。楽しんでいただくイベントとして、院内学級がある病院でさせていただいている」と説明した。

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