「寝ていない自慢」の上司が職場を壊す――睡眠不足という感染症と「3つの行動管理」(2/3 ページ)

» 2026年07月27日 12時00分 公開
[村上ゆかりITmedia]

睡眠不足は「伝播する病」

 ワシントン大学のクリストファー・M・バーンズ教授らの研究では、リーダーの睡眠不足が翌日の高圧的なマネジメントにつながり、部下の仕事への意欲(ワーク・エンゲージメント)を低下させることが示されている。寝不足の上司は、無自覚のまま職場の空気を悪化させるということだ。さらに、上司や経営者が寝ていない様子を見せることが、「睡眠は仕事のために犠牲にするもの」という無言の圧力にもなる。

 まとめると、経営者や管理職の睡眠不足は個人の問題だけではなく、判断力・健康・組織文化の3方向に波及する経営リスクといえるのだ。

「行動管理」はできているか

 もっとも、睡眠不足の全てが問題なのではない。繁忙期や突発的な危機対応で一晩眠れないことは誰にでも起こる。問題があるのは、睡眠不足が常態化したときである。

 ヴァン・ドンゲン氏の実験が示したのは、睡眠不足が「負債」となって蓄積することだ。毎日少しずつ削られた睡眠は返済されないまま積み上がり、しかも眠気の感覚だけがまひしていく。疾患リスクが高まるのも、短時間睡眠が常態化したときだ。

 ここで、一般的な体調管理を思い出したい。例えば、感染予防を尽くした上でインフルエンザにかかってしまった人を「体調管理がなっていない」と責めることはしないはずだ。責められるのは、感染リスクを認識しながら対処しなかった場合だ。

 睡眠も同じである。例えば、育児や介護、突発的な危機対応など、どうしても睡眠が削られてしまうことがあるのは仕方がない。しかし経営層や管理職における“慢性的”な睡眠不足は、マネジメントや自己管理の不手際を表すシグナルとなる。

 睡眠不足による仕事の質低下に気づかず、自己判断に頼り、何も改善の手を打たないことは、リスクを放置することと同義だ。

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