リアルタイムでの施策を推し進める一方で、会場内で特徴的だったのがオペレーション改善に対する体制作りだ。
場内で緊急の対応が必要な事案やトラブルが発生した際などに、情報をリアルタイムで把握、共有できるよう、オペレーションルームを設置している。
また、XでFビレッジ公式目安箱「Fビレッジおじさん」(@FVillageOjisan)というアカウントを運営しており、ユーザーの投稿をリアルタイムで把握し、緊急度の高い情報はすぐに共有できる体制を取っているという。
他にも、会場内にたくさんのボランティアスタッフを配置。「こまっていませんか?」などと書かれたボードを持ったボランティアが会場を練り歩き、会場案内のサポートするなど、顧客が安全、かつ快適に過ごせるようさまざまな工夫を凝らす。
現状アプリのダウンロード数は85万件を超え、月間アクティブユーザーは30万人に上る。今年から、購入者が観戦チケットを分配する際に、同行者の会員登録を必須化するなど、アプリの利用前提での設計を進めている。
取材時、場内の飲食店や観戦中など、年齢問わず多くのユーザーがアプリを利用している姿を見かけた。アプリ前提の体験設計に移行する中でも、オペレーションの強化でユーザーの離反を防いでいく。
日本生産性本部によると、顧客満足を高めていくアプローチには大きく「失点防止」と「得点アップ」の2つの要素があるという。
日本生産性本部:顧客満足とは:CS向上のアプローチと調査の活用参照
「失点防止」は安全、清潔、対応の丁寧さなど“当たり前品質”と呼ばれるものを指す。一方「得点アップ」は、感動体験の有無(※)や、ユーザーの期待を超える体験の提供などのアプローチを指す。
※日本生産性本部では感動指標を「びっくりした(良い意味で)」「うれしい」「楽しい」「興奮した(良い意味で)」といった項目で判断している
デジタル化を推し進めて「得点アップ」を狙うだけでなく、現場のオペレーション強化によって「失点防止」を徹底するエスコンフィールドとファイターズの取り組みは、顧客満足度とリピート率向上を目指すマーケターにとって参考になるだろう。
エスコンフィールド周辺では現在、新たにホテルやオフィスビル、居住地の開発が進む。2028年には新駅開業も控え、今後はさらに、野球観戦以外の目的でFビレッジを訪れるユーザーの増加が見込まれる。
通勤や通学でFビレッジに通う層に、いきなり野球コンテンツがメインの公式アプリや「F VILLAGE アカウント」の登録を促すのは、ハードルが高い。まずは公式LINEなどを活用しながら、ライトな接点を強化していく方針だ。
担当者は「今後はFビレッジ周辺やエスコンフィールド内で働く人も増えると考えており、そういった方々のデータも管理しながら、マイル(ポイント)を貯められるインセンティブ設計なども検討したい」と展望を語った。
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