紀伊國屋書店の経営で注目するべきは法人外商である。国内書店の売り上げを上回っており、事業別では最大の規模となっている。
法人外商とは、電子版を含む書籍や雑誌、学術系データベース商品、文具・雑貨類などを、学校、研究機関、官公庁、企業などに販売するビジネスだ。
図書館や資料室の新築・改修時には、設備や備品の納入・設置を行うほか、図書館業務のアウトソーシングも受託している。紀伊國屋書店は約40年にわたり大学を中心とした図書館業務のアウトソーシングを受託しており、司書などのスタッフの派遣数は1600名を超える。
図書館の全業務を受託するだけでなく、一部の業務に範囲を絞った運用も可能だ。配置する人数やデジタル化への対応など、ニーズに合わせてカスタマイズできるノウハウを持っている。
また、創業以来学術情報を扱ってきた経験を生かし、研究者や学生に役立つ最新情報も提供している。2018年にリリースした学術和書電子図書館サービス「KinoDen(キノデン)」は、2026年5月時点で搭載タイトルが約13万点に上り、国内外で560機関が導入している。ほぼ全タイトルを試し読みができるなど、「本当に使われる電子図書館」を目指してサービスを展開している。
さらに、社内には業務委託スタッフの採用、研修、育成を支援するライブラリーサ
ービス営業本部LS業務支援センターがあり、社内外の講師による研修を多数実施している。情報科学技術協会の検索技術者検定などの資格についても講習会を行い、合格した場合には待遇面で考慮するなど、スタッフのスキルアップにも力を入れている。
図書館や電子書籍は、書店の売り上げを奪う存在という意見もある。しかし紀伊國屋書店の場合は、逆に図書館や電子書籍を法人外商の事業に取り込むことで、売り上げにつなげているのである。
多くの書店がB2Cを中心に事業を展開する中、紀伊國屋書店のようにB2Bまで幅広く手がける書店は限られている。こうして書店での書籍販売とは異なる需要を取り込んでいることも、業績を伸ばしている理由の一つだろう。
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