アメックスが売る「メンバーシップ」の正体「ポイント経済圏」定点観測(5/5 ページ)

» 2026年08月10日 08時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4|5       

つまみ食いはお断り?

 ここまで並べてみて、ようやく謎の正体が言葉になった。アメックスのメンバーシップとは、入り口で選ばない代わりに会費でふるいにかけ、会員歴を刻印し、そうして保たれた会員基盤の質を元手に、お金だけでは買えない体験をパートナーから調達して配る仕組み、ということになる。

 エルメスやフェラーリが忠誠の履歴を入り口の審査に使うのに対し、アメックスは選抜を、毎年の年会費という踏み絵に分割している。やり方は違っても、着地点はどちらも「お金だけでは手に入らないもの」なのだ。

 だとすると、この仕組みの天敵は、特典だけを使い倒して、決済は高還元の他社カードに寄せる「チェリーピッカー」である。年会費を投資と捉え、特典の利用で元を取ろうとする――そうした損得勘定で利用する会員が増えるほど、会費というふるいは目が粗くなる。

ベリーがこれでもかと載ったデザート。さくらんぼは一粒もなかった(筆者撮影)

 そういえば7月のプラチナ刷新では、無料宿泊の追加やエアラインクレジットの継続に「年間500万円利用」という条件が付いていた。さくらんぼだけをつまむ会員には、ちゃんと手が打たれているわけだ。

 なるほど、そういうことか。謎はどうやら解けた。今度誰かに「メンバーシップって何ですか」と聞かれたら、少しはましな答えができそうだ。そういえばこの日のデザートには、ベリーがこれでもかと載っていたのに、さくらんぼは一粒もなかった。つまみ食いはお断り、ということかもしれない。

筆者プロフィール:斎藤健二

金融・Fintechジャーナリスト。2000年よりWebメディア運営に従事し、アイティメディア社にて複数媒体の創刊編集長を務めたほか、ビジネスメディアやねとらぼなどの創刊に携わる。2023年に独立し、ネット証券やネット銀行、仮想通貨業界などのネット金融のほか、Fintech業界の取材を続けている。


視聴無料・LIVE配信:
無料セミナー「ROI視点で考える本気のAI PC選定」開催!

photo

  • 開催日:8月28日(金)
  • 形式:オンラインセミナー
  • 参加費:無料

前のページへ 1|2|3|4|5       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR